「ブロッコリー」価格が“急上昇” 今年の田植えは「コシヒカリ」減少…暑さに強い品種へ
指定野菜の仲間入りも決まったブロッコリー。その価格が急上昇しています。まもなく迎える春以降も気温の高さが指摘される中、異常気象に負けない農作物を選ぶ農家も出てきました。
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薄く引きのばしたピザ生地に乗せられたのはたっぷりのブロッコリー。作っているのは埼玉県深谷市の道の駅です。
実は、深谷市はネギだけでなくブロッコリーの作付けも全国トップクラス。指定野菜入りも控えるブロッコリーをPRしようと「深谷のめぐみ ブロッコリーフェア2024」が行われていました。
ところが、直売なら安いはずなのに19日は200円で売られているものもありました。
お客さん
「私が買うのはいつも130円前後、ただ、今日は高いなという感じ」
実際、主要産地の価格をみても、2月まで1キロ300円前後で推移していましたが、今月に入ると急上昇。3月16日の市場価格は1キロあたり485円と、1月6日の255円のほぼ倍近い1キロ500円に迫る勢いとなっています。(※農林水産省「青果物卸売市場調査」より)
いったい何が起きているのか。埼玉・深谷市の農協の倉庫を見せてもらうと…
JAふかや 西部センター 係長・倉林史明さん
「私も農協に入って20年いるが、ここまで少ないのはなかなか経験したことないですね。今年はどうしても暖かいので、ブロッコリーがどんどん育ってしまって」
暖冬の影響で出荷が前倒しになったため、年明けに出荷するブロッコリーが不足。今、高値になっているといいます。
ほかにも暑さなどの影響でにんじんは平年の約4割高、はくさいは倍の価格となっています。(※野菜の価格の平年比・18日時点 東京都中央卸売市場より)
気温が高い傾向は今後も続く見込みで気象庁が19日に発表した3か月予報では、来月には最高気温が30℃以上となる真夏日が出る可能性もあるといいます。
昨年は史上最も暑い夏になったように異常気象となる中、苗木などの販売や研究を行う会社では…
サカタのタネ・コーポレートコミュニケーション部 藤田杏奈さん
「暑さに対する品種・耐暑性の高い品種はニーズが高い」
暑さに強い品種を求める農家などが増加。暑さに強い大玉トマト「麗月」の種の去年の販売数量は2019年5月期と比べ約65%増え、最近も大根やブロッコリーなど、夏の暑さに強い品種を続々開発しているといいます。
さらに日本の主食にも世代交代の波が来ていました。茨城県にある米農家では…
米農家 高橋大希さん
「一般的にこの地域では『コシヒカリ』が作られていたが、違う品種を作付けできないかと」
日本で最も多く作られている「コシヒカリ」の栽培を減らしているといいます。その理由は…
米農家 高橋大希さん
「(コシヒカリは)お米ができるときに暑さをくらうとお米の品質が落ちる」
特に記録的な猛暑となった去年は収穫量が減少。そこで茨城県が力を入れているのが「にじのきらめき」という品種です。「コシヒカリ」と同等のおいしさをもちながら暑さにも強いといいます。
実際に去年とれた「コシヒカリ」と「にじのきらめき」を見比べてみると…
米農家 高橋大希さん
「白く濁っているお米が、『コシヒカリ』には多いんです。見た目の検査が日本のお米は主流なので、等級が落ちる」
「コシヒカリ」は暑さによって白く濁ってしまうといいます。
米農家 高橋大希さん
「逆に『にじのきらめき』を見てもらうと一般的に透明度が強い。等級が1等、2等でおさまる」
そのため、農家の利益も大きいといいます。
暑さに強い品種への転換は、米どころ新潟や富山などでも徐々に進んでいるということです。