「また値上げですか」…オリーブオイル高騰続く 飲食店“サラダ油で代用”も “安い”トルコ産広がる
パスタなど、さまざまな料理に欠かせない「オリーブオイル」が、ヨーロッパの干ばつなどの影響で、値上がりしています。飲食店では、長引く高騰に、代用品に切り替える動きも広がっています。スーパーでは、仕入れ値が安い“トルコ産”のものを増やす動きも出ています。
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ステーキとクラフトビールの専門店を訪ねると…
店員
「失礼いたしまーす。“にんにくびたびたハンバーグ”、シングルになりますね」
お客さん
「あっつい。うまみが…うふふふふ」
熱々のハンバーグに、思わず笑みがこぼれます。
口に入れた瞬間に、肉汁があふれだすという、その名も「肉汁ハンバーグ」。外は香ばしく、中はジューシーに仕上げるため、こだわりがあるといいます。
1ポンドステーキ&クラフトビール専門店「ハ.ッ.ク.ル.ベ.リ.ィ.」 鈴木幸哉店主
「成形した後に、保湿というか品質を保持するために、油でコーティングして、もともとはオリーブオイルを使ってたんですけど」
以前は、焼く前のハンバーグにオリーブオイルを塗っていました。
しかし、仕入れ値がたびたび上昇したため――
ハックルベリィ 鈴木幸哉店主
「物価高騰により、いろいろ試行錯誤しながら、サラダオイルに変えたりしています。知恵をいれないと、使いにくくなってきました」
さらに、ガーリックシュリンプを調理する際、ニンニクの香りづけに欠かせないオリーブオイルも…
ハックルベリィ 鈴木幸哉店主
「サラダオイルなどに交換・変更できるか、検討しないといけないですね。日々、苦戦しております」
今後、ガーリックシュリンプにもオリーブオイルを使うのをやめるかもしれない…というのです。
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長引くオリーブオイルの高騰――。
店頭価格を“値上げ”する決断をしたスーパーもあります。
スーパーセルシオ和田町店 食品バイヤー 久保田浩二さん
「228gのサイズになると(店頭価格が)100円ぐらい値上げ。上げるのは心が痛いのが正直なところです」
神奈川県横浜市のこの店では、大手メーカーの仕入れ値が継続的に上昇したため、去年10月、オリーブオイルの店頭価格を一気に100円~200円値上げしたといいます。
スーパーセルシオ和田町店 食品バイヤー・久保田浩二さん
「これから迎える5月に向けて、さらにまた値上がりがあるというメーカーの発表がありますので」
今後、さらなる店頭価格の値上げをせざるを得ない可能性もあるといいます。その代わり、店では、仕入れ値が安いトルコ産のメーカーの売り場を2倍に増やしたというのです。
スーパーセルシオ和田町店 食品バイヤー・久保田浩二さん
「こちらは、トルコ産のエクストラバージンのオリーブオイルになるんですけれども、他のメーカーのものと比べると、すごく安く仕入れられる。安く販売させていただく」
長引く高騰に、お客さんからも悲鳴があがっています。
主婦(40代)
「びっくりする。“これ以上あげないで”って。どんどん使える物が減っていっちゃうよね」
夫婦(20代)
「(使う量)減らせるか?」
「意識しないと、じゃない?」
「気持ち減らすかな。バンバン買えるものじゃないしね」
大手メーカーも、5月納品分からの値上げを次々と発表しています。
●昭和産業は、家庭用の600gを570円以上。300gは285円以上、値上げします。
●J-オイルミルズは、家庭用の商品を、最大66%の値上げに。(※家庭用:32%~66%値上げ)
●日清オイリオグループは、最大64%の値上げに踏み切るのです。(※家庭用:23~64%値上げ)
その理由は、オリーブの主な生産地であるヨーロッパを2年連続で襲った、大規模な「干ばつ」です。生産量が激減したうえに、船の輸送費があがっていることも一因だといいます。
オリーブオイルは“命”だというスペイン料理の店では、度重なる“値上げ”に悲鳴をあげていました。
エルチリンギート 新倉孝之輔代表
「そりゃあもう…またか! もう値下げってないので、値上げ、値上げ、また値上げですかって」
パエリアやアヒージョなどに欠かせない、このオリーブオイル。年々、仕入れ値があがり、去年6月には約3割上昇したといいます。
さらに、来週めどに仕入れる次回分も、値上げを通達されたといい、9か月ほどの間で、仕入れ値が4割あがるというのです。
エルチリンギート 新倉孝之輔代表
「値段・価格調整は1回見直しというか、(見直し)した方がいい」
今後、メニュー価格の値上げを検討しているということです。