名物グルメにも“値上げの波” もんじゃにお好み焼き…苦渋の決断 原材料高の影響で先行き見通せず
原材料費などの高騰を受けて、各地の名物グルメにも値上げの波が及んでいます。東京の「もんじゃの街」、広島の観光スポット「お好み村」を取材すると、「食材がこんなに値上がったことは過去にない」といった驚きの声や、価格設定に苦しむ本音などが聞かれました。
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東京・月島は「もんじゃ焼き」で有名で、週末には入店待ちの行列ができる店もあります。「もんじゃの街」はコロナ禍で厳しい状況が続きましたが、少しずつ活気が戻ってきているといいます。
商店街にある「もんじゃ麦」で食事をしていたお客さんは「明太子、すごい。その後、チーズ来て、めっちゃうまい」と、その味を賞賛していました。
もんじゃ麦 野口美香さん
「(原材料費は)すべて据え置きか、上がっている。チーズが結構、メインで上がっている。チーズを使ったもの(メニュー)を上げざるを得ない」
この店では1月から「明太子もちチーズもんじゃ」を55円値上げし、1650円になりました。油、小麦粉、明太子など原材料費の高騰が相次ぐ中、特に乳製品の「チーズ」の仕入れ値が前年比で約2割も上昇しました。これを受けて、チーズ入りメニューについては値上げに踏み切ったといいます。一方、チーズを使わないメニューについては一部、価格を据え置いて対応しているということです。
もんじゃ麦 野口美香さん
「(店は)40周年を迎える。(食材が)こんなに値上がったことは、過去になかったと思います。(メニューの価格は)据え置きで、ずっとやっていきたい思いが強いので、できる限り守っていきたい」
また、もんじゃ焼きを扱うほかの店舗や屋形船などでも「値上げに踏み切らざるを得なかった」という声が聞かれました。
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一方、広島市にある「お好み村」は、23のお好み焼き店が集まる観光スポットです。ランチタイムには、広島名物・お好み焼きを楽しむ人たちの姿が見られます。
基本メニューの「肉玉そば」は、薄く広げた生地にキャベツ・もやし・豚肉などをのせます。ひっくり返した後、今度は麺・卵の上にソース・青のりをかけます。
「お好み村」の全店舗では2022年10月、この昔ながらのメニュー「肉玉そば」を一斉に50円値上げして、900円になりました。小麦粉・油などの原材料費のほか、鉄板を熱するガスなどの燃料費も高騰しているためだといいます。
広島お好み村組合 豊田典正理事長
「苦渋の決断ですよ。50円上げるのも思い切りましたけど、本当はそのくらいの値上げでは足りないくらい。燃料費・電気代も含めて、すべてのもの(コスト)が1割~3割くらい上がっています」
広島経済大学・地域経済研究所が2022年8~9月に行った調査によると、直近1年間で広島県内の46.9%と、半数近いお好み焼き店が値上げを実施しました。「お好み村」でも、企業努力だけでは価格を維持できなくなり、値上げを決断したといいます。
観光客からは「『お好み焼きもか…』です。もうちょっと安く食べられるなら、安く食べたい」、「『しょうがないかな』という感じが強いです」という声が聞かれました。
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先が見通せない値上げの波は、どこまで続くのでしょうか。