日銀・植田新総裁就任会見 市場の受け止めは?
日本銀行の植田新総裁は就任会見で、当面は緩和路線を続ける意向を示しました。市場では無難な船出との評価もある一方で、新総裁のもと、いずれは大規模緩和の見直しが進むのではとの見方も出ています。
■三井住友DSアセットマネジメント 市川雅浩チーフマーケットストラテジスト
「基本的にはマーケットがサプライズとなるような発言はなく、従来通りの見解。これまでの政策を肯定しながら、当面は緩和継続は必要というスタンスを示した。(YCCについても)無難な発言に終始している」
■第一生命経済研究所 藤代宏一主席エコノミスト
「YCCが適切だという表現や、大規模緩和の継続が適当とする見解など、黒田体制を根本的に見直していくという発言はほとんど見られなかった」「副作用に関する質問についても『金融機関の収益圧迫』といった従来から認めていた表現にとどまった」「就任会見としては、黒田さんのデビュー時の方が派手さがあり、植田さんは比較的、安全運転に徹していたという印象」
■大和証券 岩下真理チーフマーケットエコノミスト
「政策運営については、ゆっくり考えていきますというスタンスが感じられた。就任会見の印象としては、10年前の黒田さんの時が異色だっただけに、今回の植田総裁の就任会見については、『総裁がかわるから政策もかわる』という雰囲気を感じさせなかった」
無難との見方がある一方で、今後、見直されていく可能性を指摘する専門家も。
■野村総研 木内登英エグゼクティブ・エコノミスト
「会見で副作用に対して言及はしているので、緩和を維持しながらも副作用を見直していく姿勢。また、YCCの変動幅拡大や変動幅撤廃といった柔軟化策は、年後半に先送りされる可能性がありそうだ」「また、年後半になって物価上昇率が下がっていくと、2%の物価目標の柔軟化も実施される可能性がある」
■みずほ証券 小林俊介チーフエコノミスト
「黒田元総裁時代の政策について、自分であれば決断できなかったような政策を実行したとの発言も聞かれた。ETF購入やYCCの副作用についても言及しており、中長期的には方向転換もありうる」