リカちゃんが17歳の高校生に なぜ?
今までと比べ「写真映え」や「トレンド感」を意識したという新しいリカちゃんですが、その背景には、子供たちを取り巻く環境の変化や、おもちゃ市場におけるターゲットの変化があるといいます。
■高校生リカちゃん誕生!
おもちゃメーカーのタカラトミーが10月に発売するのは、高校生になったリカちゃんシリーズ「#Licca(ハッシュタグリカ)」。
リカちゃんの身長は、今までの22センチから27センチになり、5センチ成長しました。
人形は全部で4種類。韓国発祥の「オルチャンメイク」をしたリカちゃんや、「ネコミミ」をつけたリカちゃんもいます。
いずれも、衣装やヘアスタイル、メイクに流行を取り入れ、時代を反映したスタイルになっているのが特徴です。
■「永遠の11歳」成長の理由は?
「7~9歳の子供たちが憧れる対象として、#Liccaの年齢を17歳にして、ファッションやメイクなどにも流行を取り入れました」
そう話すのはタカラトミーのマーケティング本部、ガールズ事業部の向井里奈課長です。ガールズ雑誌を読み込み、従来のリカちゃんには取り入れてこなかったインナーカラーのヘアスタイルや、韓国風マカロン「トゥンカロン」の小物など、現在のトレンドを反映させたといいます。
「今の子供たちはインプットが多く流行に敏感です。そんな子供たちが憧れるような今風のメイクやファッションを意識して、リカちゃん自体が“映える”ようにしました」
「映える」リカちゃん誕生の背景のひとつにあるのは、子供たちを取り巻く環境の変化。
小さな子供たちもスマホやタブレットといった情報端末を使うようになり、オンラインで写真や動画を見たり、自分で撮影・発信する機会が増えたりしたことで、今まで以上に時代の流れを意識するようになってきているといいます。
また、子供だけではなく親も一緒にリカちゃんを撮影し、インスタグラムなどのSNSにアップすることで、親子でも楽しんでほしいとしています。
■おもちゃ市場に訪れたターゲットの変化
おもちゃメーカーの工夫の裏には、おもちゃ市場におけるターゲットの変化があります。
おもちゃ業界紙、月刊トイジャーナルの伊吹文昭編集長によると「最近は子供だけではなく、大人も一緒に楽しめたり、親子でコミュニケーションがとれたりするおもちゃがよく売れている」と話します。
中でも、2019年度は親と子供が一緒にアクセサリーを作って楽しむおもちゃや、車の形やスピードにこだわった本格的なラジコンなどが売上げを伸ばしたということです。
また、新型コロナウイルスの感染拡大により在宅時間が延びたことで、ジグソーパズルやプラモデル、プログラミングができるおもちゃなど、家の中で長く遊べるおもちゃの売り上げも増加。
日本玩具協会の公表している「玩具市場規模調査結果データ」によると、2019年度の国内玩具の売り上げはこれまでの調査の中で過去二番目となっています。
オンライン環境の変化に加え、コロナによる在宅時間の長期化という大きな変化が起きているいま、消費者のニーズをとらえてさらなる売り上げにつなげようとするおもちゃメーカーの動きが活発になっています。