×

精米前の米の価格下落…新米保管に困る事態

2021年10月11日 20:26
精米前の米の価格下落…新米保管に困る事態

今、精米する前の米の平均価格が、下落しているといいます。さらに、去年収穫した米が大量に残っている倉庫もあり、新米の保管場所に困る事態となっています。その背景とは。



サクサクに揚げたアジフライにじっくり焼き上げる焼き鳥。湯気が立ちのぼる炊きたてのご飯とたっぷりのおかずを詰めて完成するお弁当。そのお値段、280円です。

おかず屋金町店・小坂綾佑店長「お弁当に関してはほとんど利益ないような感じでやっているので、少しでも値段を抑えられればというのはあります」

1日12キロから15キロの米を使うというこちらのお店。油や肉の値上がりで厳しい状況が続く中、お弁当に欠かせない米の仕入れ値は下がってきているといいます。

おかず屋金町店・小坂綾佑店長「ここ2週間くらいでだいぶ下がりました。1割くらい下がっているのかなって」

農林水産省が発表した精米前の米の平均価格をみると、2年前の8月は60キロあたり1万6000円近くでした。しかし、新型コロナウイルスの流行が始まった去年から価格は下落傾向に。今年8月には1万4000円を割っています。

新米がおいしい“実りの秋”。しかし、生産者からは悲鳴が。

柏染谷農場・染谷茂代表取締役「何年も米作りやってきてこういう年というのはないんですけどね、普通だと去年あたりだったら1万2000~3000円していた。それが9000円に。それじゃ農家がだんだんやる気なくなっちゃう」

価格が下がった原因は、新型コロナウイルスの影響で飲食店などで使う米の消費が減少したことです。米離れが進む中、家庭用の米も消費は伸びていないということで、今年の新米の出荷にも影響が出ていました。

柏染谷農場・染谷茂代表取締役「今どこも倉庫がいっぱいで、出荷ができない状態のところもあります」

首都圏の飲食店やコンビニなどで使う米を生産する栃木県のJAの倉庫では、例年であればほぼ出荷が終わっているはずの去年の米がまだ大量に残っていました。

JA全農とちぎ米麦部米穀課・冨田康之課長「コロナ禍におきまして、(米の)販売が非常に遅れていると、倉庫がほぼほぼ目いっぱいな状況で、入れる場所もなかなか困っているというような状況が続いています。一番はコロナ禍が終息してみんなが普通の生活を送れることが第一です」




こうした“米の危機”を救うため立ち上がったのは、米どころ新潟県。

新潟県農林水産部食品・流通課 渡辺慎一課長「新潟米オンザライス選手権ということで」

夜食に手を伸ばしたくなる午後11時、インターネットで配信しているのは、5種類の新潟米の上に様々なおかずが舞い降りる瞬間を実況した動画です。

配信を始めた狙いは。

新潟県農林水産部食品・流通課 渡辺慎一課長「今お米余りということで、農家の方々大変です。収入が減るという状況にもなっています。お米の消費を拡大するという観点から、若い人たちにもっともっとお米を食べていただきたいと思っております」

SNSの反響の数で最もおいしそうに見える米とおかずの組み合わせを競うということです。