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“逆境グルメ”とは… 困難に直面する食材をおいしく活用! 各地で開発

2024年10月16日 19:49
“逆境グルメ”とは… 困難に直面する食材をおいしく活用! 各地で開発

需要が激減したり、“厄介者”扱いされるなど、困難に直面する食材を活用する“逆境グルメ”。各地で開発されている、おいしい“逆境グルメ”を取材しました。

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いま都内のコンビニには、こんな商品が…

『news every.』スタッフ
「お弁当売り場の中に、うずら卵だけの中華丼があります」

具材の大半がうずらの卵で占められた少々“とがった”お弁当。その名も「うずら卵の中華丼」(298円 税込み)です。

コンビニチェーン「ローソンストア100」の人気商品“だけ弁当”シリーズの派生商品として、今月発売されました。

6つのうずらの卵を使った中華丼、そのお味は…

『news every.』スタッフ
「あっさりとした鶏ガラのあんが、うずらの卵とほどよくマッチしています」

この商品開発の背景にあったのは、うずらの卵の“逆境”です。

商品開発部 山田克徳さん
「ニュースで、うずらの卵の在庫が余っているとありまして」

今年2月に、子どもがうずらの卵を喉につまらせ亡くなった事故を受け、需要が激減。生産者が廃業の危機に陥っていたのです。

商品開発部 山田克徳さん
「消費にも貢献したいと思ってますし、何よりもお客様にも、うずら業者にも喜んでいただければと」

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こうした逆境にさらされている食材をおいしくいただく“逆境グルメ”が、各地で開発されています。

福井県で逆境にさらされていたのは、頭部が大きく張り出した魚。福井などで漁獲量が急増している「シイラ」です。

福井放送 櫻井幹大記者
「平べったいのに結構重たいですね。重さとしては10キロ近くありそうです」

「シイラ」は、網に入ると他の魚介類を傷つけてしまうため、漁師からは“厄介者”として嫌われる存在。

この“厄介者”を活用するため開発された“逆境グルメ”が、カラッと揚げた「シイラ」をバンズで挟んだ「マヒマヒバーガー」。(福井・高浜町 うみから食堂 1150円)

淡泊ながら脂ののった白身と、タルタルソースの相性は抜群。店の中でも人気メニューになりました。“逆境グルメ”の開発などを経て、いまでは…

(有)宇久定置網 浦谷俊晴代表取締役
「シイラ様と“様”をつけるぐらい、本当に良いお魚です」

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東北にも、逆境の“食材”がありました。福島県の観光地、猪苗代湖。透明度が高く、きれいな水が特長の湖ですが、水面の一部が緑色で埋め尽くされています。

その正体は、在来種の水草「ヒシ」。10年以上前から増殖し、水質や生態系などに影響を及ぼしているというのです。

そんな“厄介者”ヒシも“逆境グルメ”に…。“ヒシ茶”です。

香ばしい風味と、ほのかな甘みが特長だというヒシ茶。忍者の「マキビシ」の由来にもなっているヒシの実を、焙煎(ばいせん)して作られています。

いなびし 長友海夢社長
「漢方とか薬膳っていうのは知っていたので、なにか健康にいいものに転用できるだろうなって。お茶ってものにすると非常に、いろんなところで使ってもらいやすい。たくさんの方に手にとって使ってもらいやすいので、結果的にお茶に」

ヒシは、お茶だけにとどまらず、ヒシの実の収穫体験や焙煎(ばいせん)体験なども行い、ひとつの観光コンテンツになっているといいます。

いなびし 長友海夢社長
「“厄介者”っていわれたものに新しい価値を生み出して、それがなにか地域経済発展につながることにしたいなと」

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困難に直面する食材を、おいしく救う“逆境グルメ”。きょうもまたどこかで、新しい“逆境グルメ”が生まれているかもしれません。