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中国産キャビア“世界一”の舞台裏 本場ロシア「過剰生産」に反発も

2024年10月12日 17:35
中国産キャビア“世界一”の舞台裏 本場ロシア「過剰生産」に反発も

中国の「過剰生産」が問題となっていますが、実は今、ある高級食材をめぐっても他国の反発を招く事態が起きていました。

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中国・四川省・成都にある中華料理店。厨房を見てみると、料理人が手際よく作っていたのはチャーハン。皿に盛り付けると、そこに…

黒いダイヤとも呼ばれる"高級食材”のキャビアを一缶まるごとのせた「キャビアチャーハン」。日本円で1800円ほどです。

そのお味は…

記者「チャーハンの味自体もしっかりしているのですが、そこにキャビアの濃厚さが加わって、まろやかな味わいになっています」

ふんだんにキャビアを使えるのには理由がありました。

料理人「中国産のキャビアはとても安いから、大衆に食べてもらえるようになりましたよ」

キャビアといえば、ロシア産が有名でしたが、いま、安い中国産キャビアが世界を席巻しているのです。

なぜ、中国でキャビアの生産が急拡大しているのか。私たちが向かったのは、成都から車で2時間ほど行った山あいの村。

記者「キャビアの看板があります」

看板には「全世界のキャビアの14%は四川省から」。

ここにキャビアを生産している会社がありました。

キャビア生産会社「ここがチョウザメの養殖場です。78個の養殖プールがあって、ここで生産するキャビアは世界30か国に輸出されています」

広大な敷地に並んでいるのはキャビアをつくるチョウザメを養殖するためのプールです。ここで養殖されているチョウザメの数はおよそ2000万匹。

記者「こちらで養殖して10年以上というチョウザメですが、かなり重いです。100キロ以上あるということです。重い…すごい暴れる!」

チョウザメは、主な生息地であるカスピ海などで乱獲され、絶滅の危機にあるとしてワシントン条約で取引が規制されています。

そこで世界各国で養殖の試みが行われましたが、最も成功したのが中国だったのです。

キャビア生産会社「養殖が難しいのは、長い繁殖期間が必要で、キャビアができるまでに8年から15年が必要です。途中で何か問題が起きれば、すべてダメになってしまう」

この会社は、2003年に養殖を始め、10年後に初めてキャビアの生産に成功。数年前にようやく大量生産する技術を確立しました。地元政府によるインフラ投資などの後押しもあったといいます。

こうした養殖は中国各地に広がり、いまや、世界で生産されるキャビアの60%以上が中国産となっているのです。

四川潤兆漁業・傅文楊社長「私たちのキャビアは、80%が海外に輸出されています。生産量は、毎年30%ずつ拡大していますよ」

安い中国産キャビアの広まりに、“本場”ロシアでは反発も出ています。

ロシアのキャビア業者「中国産キャビアの生産ペースは非常に奇妙です。中国はロシアほどキャビア生産の経験はありません。そのため品質はよくありません」

ロシアメディアは、中国産キャビアの生産コストは、ロシア産の10分の1以下と指摘。さらに、ロシア産として市場に出回るキャビアのおよそ4割が実はラベルを偽造した安価な中国産だというのです。

ロシアのキャビア業者「私たちは組合を作り、中国産と戦っています」

国内で大量生産し、海外で安く売る中国の"過剰生産”問題。キャビアも新たな火種となるのでしょうか。