価格は鶏肉の“3倍”…フィリピンで「タマネギ」高騰 密輸など犯罪も横行
料理でよく使われるタマネギ。去年は“異例の高値”となっていましたが、今、日本ではなく「フィリピン」でタマネギの価格が高騰しています。1キロあたりの値段は、日本円に換算すると約1400円と鶏肉の3倍近い値段になり、街では少しでも安いものを求めて長蛇の列となっています。
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13日、東京・足立区の「スーパーおっ母さん北千住店」では、タマネギを「3個入り159円」で販売していました。買い物に来た夫婦はタマネギを手にし、「大きいし、お値段的にも安いです」と話しました。
タマネギは産地・北海道の不作が原因で、2021年~2022年にかけて“異例の高値”となっていましたが、今では価格が安定し、例年並みの値段に戻っているということです。
スーパーおっ母さん北千住店 青果部チーフ・近藤弘樹さん
「去年は、だいたい250円から300円くらいの販売価格でしたね。半分くらいの価格になりますね」
買い物客は、「高くて買えなかった時があったんですけど、タマネギは結構使うので助かります」と話しました。
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日本では安堵(あんど)の声が聞こえたタマネギの価格ですが、海を渡った先、東南アジアのフィリピンでは“異常事態”が起きているのです。
撮影されたのは、歩いても歩いても、先が見えないほど続く長蛇の列…実は、タマネギを求める人なのです。「横入りはだめだから」と注意をされた人が、「私はちょっと手伝いに行っただけです」と反論すると、別の人から「並んでて、ここから出て行ったじゃない」と指摘を受けるなど、小競り合いが起きる場面もありました。
フィリピンでは今、去年の台風被害などが原因で、タマネギの価格が高騰しています。CNNによると、1キロあたり600ペソ、日本円に換算すると約1400円と鶏肉の3倍近い値段になり、少しでも安いタマネギを求めて人が殺到していたのです。
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青果店では、“あきれ声”も聞こえてきました。
買い物客
「タマネギは毎日食べるのに、値段がとても高い」
店員
「誰がこんな高い値段で買うっていうんだ」
買い物客
「お米くらい欠かせないものなのに」
さらに、食堂のメニューにも影響が及んでいます。炒め物に入れるタマネギは量を半分に減らし、ごくわずか…。タマネギが入った調味料で風味付けしているということです。
店員
「『タマネギが高い』と言えば、お客さんも納得してくれるし、文句も言われない」
高騰するタマネギを巡り、犯罪も横行しています。撮影されたのは、ネットに入った大量のタマネギ。すべて税関が去年12月に押収した密輸品です。倉庫からは1150袋・460万円相当のタマネギが見つかったということです。
こうした事態にフィリピン政府は、約2万1000トンのタマネギの輸入を決定しました。フィリピンで起きた“タマネギ騒動”。2月には収穫のピークを迎えることから、価格は落ち着くとみられています。