【プロに聞く】今回の日銀・金融政策決定会合の注目点!
27日から2日間にわたって開かれる日銀の金融政策決定会合。
今回の会合で金融政策の変更はあるのか、金融政策を変えないのであれば、日銀はこの円安・物価高に対しどう対応していくのか、経済・金融のプロ(市場関係者)に今回の決定会合の注目点を聞きました。
①金融政策について
まず、金融政策については、話を聞いた市場関係者はみな、日銀は今回も金融政策は変えず金融緩和を続けるだろうと、見解は一致しています。
理由は、大きく2つあります。
1つ目が、黒田総裁の任期です。
日銀の黒田総裁は来年4月8日に2期10年にわたる日銀総裁の任期を終えます。
第一生命経済研究所の藤代宏一経済調査部主任エコノミストは、任期満了が迫っているこのタイミングでは、よほどのことが無い限り、金融政策を変えないだろうと話しています。
2つ目が、今週の鈴木財務相の発言です。
このところの政府・日銀の為替介入について、日銀が円の価値を下げる金融緩和をしている一方で、政府が為替介入をして円の価値を上げようとしているのは矛盾しているのでは、との批判が出ています。
これに対し、今週火曜日、鈴木財務相は、安定的な物価上昇を目指す日銀の金融緩和政策と過度な為替の変動に対応するための為替介入は政策目的が異なり矛盾しない、と述べました。
SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは、これを「日銀は、金融緩和を続けるお墨付きをもらった」と指摘しています。
②為替への影響
一方で、先月22日には、黒田総裁の会見中に円安が急激に進み、政府・日銀はおよそ24年ぶりとなる為替介入に踏み切りました。
今回、黒田総裁の会見中に為替が動くかどうかについては、市場関係者の中でも見解が割れています。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストが「黒田総裁の発言だけで円安ドル高に振れやすい。発言が前回と変わらなくても円が売られてきた」と話す一方で、SMBC日興証券の野地氏は、「円を売りに行っても為替介入で逆を取られる。みんな円売りに疲れていて、今回はそこまで動かないのでは」と指摘します。
③では今回の注目点は?
そんな中で、話を聞いた市場関係者が注目しているのは、今回の決定会合後に出される「展望レポート」です。
これは日銀が年に4回、日本経済の先行きや物価などについて見通しを公表しているもので、前回、7月に公表された展望レポートでは、2022年度の物価の上昇率は+1.9%から+2.3%に引き上げられました。
市場関係者はみな、色々なモノの値段が上がっていることから、今回も物価の上昇率は引き上げられると予想していて、2%後半、中には3%に引き上げられると予想する人もいます。
また、第一生命経済研究所の藤代氏は、物価だけで無く賃金にも上昇の兆しが出ている、と指摘します。
物価の上昇を加味した実質賃金がマイナス圏にある中で、黒田総裁が会見で、この賃金上昇の兆しについてどのように言及するのか、注目しているといいます。
日銀の金融政策決定会合は、27日と28日の2日間にわたって開かれ、黒田総裁の会見は28日の午後に行われます。