備蓄米を放出 価格高止まりのコメ 今後はどうなる? 専門家はリスクも指摘
農林水産省は14日、緊急の時のために保管している「備蓄米」を3月半ばにも放出を始めると発表しました。
コメ価格の高止まりが続く中、それを抑制したいという狙いですが、どこまで効果があるのでしょうか?
日本人の主食=コメ。食卓にとって身近な存在だからこそ。その価格の高止まりは、家計に大きな影響を与えています。
コシヒカリ5キロの小売価格は、1年前は2440円でしたが、1月には4185円となるなど、価格は高騰するいっぽうです。この事態を受けて、農林水産省は14日。
■江藤農水大臣
「販売数量は21万トンとします。これは流通が滞っている、スタックしている状況を何としてでも改善したいという強い決意の数字だと受け止めていただきたい」
コメの価格の高止まりを抑制しようと、不作など緊急時のために保管している「備蓄米」を放出すると発表しました。
放出する備蓄米は、2024年生産されたコメを中心に2023年のコメも加えた21万トンで、まず3月はじめに15万トンの入札を行い、3月半ばには業者へ引き渡す予定です。
放出された備蓄米は、3月末から4月にかけて店頭に並ぶ見通しです。備蓄米の放出で、価格の高止まりが抑制されるかどうかが今後の焦点です。
さて、備蓄米の放出で今後、コメの価格はどうなるのか?
コメの生産や流通に詳しい、宇都宮大学の小川真如助教は、「備蓄米を大量に放出することで価格は下がる」と分析しています。
これまでコメの価格の高まりなどを背景に、売り渋っていた業者からも備蓄米の放出によってコメが出るようになり、価格が下がりやすくなるのではとしています。
ただ、リスクもあるようです。一つ目が放出されれば、一時的に備蓄米の量が大きく減り、災害が起きた時に、国民を危険にさらす可能性があるということ。
もう一つが、コメの価格が急落する可能性があるということです。生産者の方などを考えればコメは安ければ良いという話ではないので、こうした点もリスクがあります。
一方で、備蓄米と聞くと、何となく味が落ちるのかなと思ってしまいますが、埼玉県で備蓄米を管理している会社によりますと、「低温倉庫なので、夏場でも必ず15度以下をキープできるように温度管理している。5年経っても変わらずおいしいまま出すことが可能」としています。