加速する円安「150円」目前――ハワイでの朝食「2人で1万円くらい」 成田で浮かぶ“現実” 銀座では訪日客が「最高です」
円安が加速し、28日の外国為替市場も1ドル=150円近くまで進みました。輸入雑貨は値上がりし、アメリカに出張や旅行で出かけた人たちも影響を感じています。一方、来日している外国人にとって円安は好条件のため、積極的に買い物を楽しんでいます。
神奈川・大和市にある、アメリカからの輸入雑貨を扱う店を28日に訪ねました。ハロウィーンまで1か月。かぼちゃの置物などが所狭しと置かれていました。
中川和夫オーナー
「(現地の)働き手が減ったのと、円安の影響で、価格がどんどん上がってしまっています。来年のカレンダーは数年前は2200円で販売できたんですが、現在は2970円になってしまっております」
加速する円安の影響で、値上げに踏み切る商品もあります。さらに9月の売り上げは、去年の6割ほどまで落ち込んでいるといいます。中川オーナーは「売り上げが下がって、利益ももっと下がってしまうという状況です。厳しいですね」と嘆きます。
28日も1ドル=150円近くまで円安となった外国為替市場。この影響を直接感じていたのが、アメリカ出張のため出国する女性です。成田空港で28日、3万円をドルに両替すると「ちょっと少ない。(1ドル)115円くらいの時が懐かしいですね」と苦笑いしました。
レート115円の時であれば3万円は約260ドルでしたが、現在は196ドル。同じ3万円を両替しても、60ドル以上少なくなってしまいました。
そのアメリカから帰国した人は、円安の現実を見せてくれました。新婚旅行でハワイを訪れた人は「にしても高いですね、食べ物が。朝昼晩、3つとも」と話しました。
ハワイでは朝食に名物のパンケーキを食べましたが、「朝食だけだと(2人で)50~60ドルぐらいは。(日本円にすると)1万円くらいいっちゃうんじゃないかなと」と振り返ります。
新型コロナウイルスによる出国制限がなくなったものの、海外に行く人の数は制限前の2019年と比べて6割ほどにしか戻っていません。その理由について、航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんは「円安や物価高が大きな原因だ」と指摘します。
一方、東京・銀座では円安の状況を喜ぶ人たちの姿がありました。来日した外国人たちが多く買い物し、高級ブランドの袋を手にした人もいました。
アメリカから旅行で来た男性が買っていたのは、1990円のユニクロのTシャツ。男性は「(アメリカだと)25ドル(約3700円)くらいです。アメリカだと高いから、日本で買うんです。日本は大変だろうけど、アメリカ人の訪問先としては最高です」と笑顔を見せました。
北欧のリトアニアから仕事で何度も来日しているという男性は、「今回は躊躇(ちゅうちょ)なくタクシーを使っています。7年前は高くて無理でした」と言います。7年前の8月に来日した時は、レートが1ドル100円ほどで、今と約50円もの差がありました。
そのため男性は家族へのお土産を買いすぎて、急きょカバンを買い足すことになりました。値段は1万2000円です。7年前なら約120ドルでしたが、現在のレートなら80ドルほど。男性は「信じられません。120ドルが80ドルになるのか…」と驚きを隠せませんでした。
(9月28日『news zero』より)