3月8日は「サバの日」ごまさば・ぬか炊き 福岡名物に影響 深刻な不漁で卸売価格は2倍に「普通の魚が高級魚」
3月8日は語呂合わせで「サバの日」です。「ごまさば」や「ぬか炊き」など、福岡名物に欠かせないサバの不漁が深刻化しています。
開店前から行列ができているのは、福岡市中央区の「博多ごまさば屋」です。サバ料理が自慢で、午前11時の開店と同時に店内は満席です。
■訪れた人
「臭みが全然ないから、すごく食べやすくて、何度も来ています。」
「九州に来るたびにいつも訪れるのですが、いつ食べてもおいしい。飽きのない味で。」
お昼どきに人気なのが、長崎産のサバを使った「ごまさば丼定食」です。
■阿部まみアナウンサー
「お昼の人気メニュー、ごまさば丼定食です。サバはしっかりと弾力があります。脂が乗っていて、すごくおいしいです。」
この人気のランチセットに加え好評なのが、無料で食べられるサバの南蛮漬けやサバのあら炊きです。しかし。
■博多ごまさば屋・徳島慎一郎 店長
「(無料が)いつまで続けられるか。お客様のためになるべく続けていきたいのですが、こればかりはサバの問題で、どうなるか。」
店長が懸念する「サバの問題」とは、漁獲量の減少による取引価格の上昇です。農林水産省によりますと、サバの漁獲量は2018年は54.5万トンでしたが、2023年は26.1万トンと、5年で半分以下にまで落ち込んでいます。
水産庁によりますと、海水温の上昇やエサのプランクトンの減少など、海洋環境の変化が影響しているのではないかということです。
全国的な不漁の影響で、福岡魚市場での平均卸売価格は、この5年間で1.5倍から2倍ほどまで上昇しました。さらに現在、漁の最盛期にもかかわらず、捕れるのは養殖のエサにしか使われないような小ぶりのものばかりで、店頭に出せるようなサイズが少ないといいます。
店では、現在1000円で提供している「ごまさば丼定食」を3月末には200円値上げする予定で、ごはんのおかわり自由も1回までに変更することを検討しています。
■徳島店長
「普通だった魚が高級魚に、 もう食べられなくなっている。魚が捕れないと仕事にもなりませんし、大きいサバが捕れることを願うだけです。」
サバの値上がりは国産のものだけではありません。
■買い物客
「サバを2つ。」
■店員
「辛いのと普通のがあります。」
■買い物客
「1つずつ。」
北九州市小倉北区の旦過市場の「ぬかだき橘屋」です。1番人気は、“100年もの”のぬかでコトコト炊き上げたサバのぬか炊きです。こちらはノルウェー産のサバを使っています。
■ぬかだき橘屋・橘 英行さん
「きょうの値段がこれ。6000円。バタバタと上がったね、去年まで4000円台やった。(1年で)1500円くらい(上がった)。」
福岡魚市場によりますと、サバの不漁は世界的なもので、円安などの影響が重なりノルウェー産も値上がりが続く見通しだということです。
こちらの店では1年前から徐々にサバの仕入れ価格が上昇し、ことしに入ってサバのぬか炊きを30円値上げしました。
■橘さん
「もう止まってほしいだけよね。それだけよね。」
水産庁は2月、資源を守るため、より漁獲量が減っている太平洋のサバ類の漁獲枠について検討会を開き、来シーズンは7割から8割程度減らす案が示されました。3月中にも方針を固める予定です。
私たちのソウルフードであり、“庶民の魚”ともいわれるサバ。高級魚となってしまう日がくるのでしょうか。