ピンチをチャンスに…大津町のビール店「半導体バブル」で予期せぬ移転からの再出発
大津町で地元の人や観光客にも愛される存在だった1軒のビール店。ことし、思わぬ形で移転を余儀なくされました。背景にあったのは、半導体バブル。移転を決断した女性の新たなスタートを取材しました。
県内外からの来客も…ビール店の予期せぬ移転
熊本市の上乃裏通りにあるビール店「WITCH CRAFT MARKET」。世界各国のビールが並びます。
オーナーの、田上晃子さん。
■WITCH CRAFT MARKET・田上晃子オーナー
「店として営業できるぐらいまで準備できたのでちょっと一安心している」
この場所に店をオープンさせて2週間あまり。予期せぬ移転でここにたどり着きました。
田上さんは5年前、生まれ育った大津町に自分の店をオープン。
■田上晃子オーナー
「クラフトビールをより多くの人に知ってもらいたい。クラフトビールで大津町を盛り上げたい」
地元の人だけでなく阿蘇方面への旅行客も多く訪れます。
■買い物客
「おしゃれです」
「いろんな国のビールがあって面白いですね」
「思った以上にすごい品揃えだし愛を感じて素敵なお店」
多い時は1日200本を売り上げ、地域に根差す店を目指していました。ところが。
■田上晃子オーナー
「元々契約更新時期があって家賃の値上げを言われていたんですけど…」
田上さんも、テナント料が原因で店を続けることが厳しいと感じるように。ことし春、大津町を離れることを決めました。
■田上晃子オーナー
「大津町の旧商店街のあった場所をもう一回盛り上げたいという気持ちもあったので」
■常連客
「残念ですよね。残念だし寂しいせっかくお店良いお店なのに大津町から離れないといけないのはやっぱちょっと寂しいね」
移転先も見つからないまま、店は6月に閉店しました。
県内を奔走…新たな出発
約5か月後…。
■田上晃子オーナー
「きょうは電気の工事と冷蔵設備の工事と片付けなど全部です」
閉店から4か月以上県内をかけ回り、熊本市の中心市街地に移転先を見つけました。以前に比べ家賃は約2倍となるものの、集客も見込めるとこの場所に決めました。
11月14日。迎えた、再出発の日。開店して間もなくお客さんがやってきました。
■お客さん
「スムージーのレギュラー」
新しい店では、その場でビールを飲める「角打ち」を始めました。おすすめのビールがグラスに注がれます。平日昼間のオープンだったものの、店には次々に客が訪れます。
■お客さん
「普段はもうスーパーとかで売っている物しか飲まないのでちょっと飲んでみようかなと。ちょっと仕事帰りに飲みに寄れることは非常にうれしいことと思います」
ようやく、笑顔が戻ってきました。
■田上晃子オーナー
「自分が想像している以上にいろんな方に支えていただいたというか、こういう新しい挑戦ができるっていうのはすごく今後の楽しみの一つではあります」
突然の閉店から約5か月。「ピンチをチャンスに変えて…」田上さんはスタートを切っています。