中国に「き然とした態度を示す」……海自護衛艦、台湾海峡を“初通過” 背景に威圧的な軍事活動 専門家「中国はなめていた」
自衛隊の船が25日、初めて台湾海峡の通過に踏み切りました。これまで日本は中国側に配慮して控えてきましたが、転換しました。領空侵犯など中国が軍事的な圧力を強めていることが背景にあります。中国側は「レッドラインだ」と抗議。緊張が高まっています。
藤井貴彦キャスター
「中国政府が日本に強く反発しています。中国外務省の報道官は会見で『台湾問題は、中国の主権と領土を守ることや中日関係の政治的な基礎で、越えてはならないレッドラインだ』と述べました。日本に抗議したということですが、何が起きているのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「中国がこのように反発しているのは、日本の海上自衛隊の護衛艦『さざなみ』が25日、自衛隊の船として初めて台湾海峡を通過したことが分かったからです」
「この場所は、アメリカなどはどこの国の領海でもなく船が自由に行き来できる『国際水域』だと主張し、艦船をたびたび通過させています。対する中国は、『台湾は中国の一部だ』として、通過するたびに反発しています」
「日本はこれまで中国に配慮し、自衛隊の船が台湾海峡を通らないようにしてきましたが、官邸を中心として政府が検討した結果、今回初めて通過することを決めたといいます」
藤井キャスター
「なぜこのタイミングで初めて通過することを決めたのでしょうか?」
小栗委員長
「背景には、中国の威圧的な軍事活動が活発になっていることがあります。8月には、中国軍機が初めて日本の領空を侵犯したことが確認され、9月に入ってからも中国の空母が日本の領海に接する接続水域を航行するなど、軍事的な圧力を強めています」
「また、9月25日には訓練用の弾頭を搭載したICBM(=大陸間弾道ミサイル)を太平洋に向けて発射しました」
小栗委員長
「日本政府の関係者によると、今回自衛隊の護衛艦が台湾海峡の通過に踏み切ったのは、日本の主権を脅かす中国軍の活動にき然とした態度を示すためだということです」
「中国に詳しい神田外語大学の興梠一郎教授は『これまでは“やられっぱなし”だったことを思うと、日本として一歩踏み込んだ大きな決断。中国は、日本は商売したいから事を荒立てないだろうと、なめていたと思う』と話しています」
藤井キャスター
「一段と危機感が高まっているように感じますが、中国がこの後、対抗措置を取る可能性はあるのでしょうか?」
小栗委員長
「興梠教授は『中国にとっては、日本が決断したのか、やるな、と驚いている状況ではないか。懲りずに日本の領空侵犯など挑発してくるかどうかはまだ分からない。様子を見ている状況だろう』とみています」
清水希容さん(空手家・五輪銀メダリスト・『news zero』木曜パートナー)
「今回、自衛隊の船に乗っている隊員の方たちは、リスクを負いながらの任務だったと思います。私が空手をやっている身として考えているのは、『相手を傷つけない』を大前提として、『自分の身は自分で守る』という護身の精神です」
「緊張感が高まっている今だからこそ、自分の国を自分たちでどう守っていけばいいのか、一人ひとりが考える必要があるのかなと思います」
(9月26日『news zero』より)