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“植物工場”食料危機への打開策となるか

2021年12月29日 20:15
“植物工場”食料危機への打開策となるか

世界各地で地球温暖化による異常気象が相次ぎ、農業への影響も深刻になっています。近い将来、危惧されている食料危機への打開策となるのか。最先端の“植物工場”を取材しました。

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■“植物工場”で栽培のイチゴがNYで話題に!

世界中の食通が集まるニューヨークで、今、話題となっているイチゴ。パッケージには「Oishii」と書かれています。栽培されているのは、マンハッタンのビル群にほど近いニュージャージー州。

Oishii Farm 代表・古賀大貴さん「この先に農場があります」

記者「農場っていうより倉庫みたいな感じですね」

古賀さん「そうですね。大きな倉庫の中に農場を建てているという感じ」

中を案内してもらうと―。

古賀大貴さん「こちらがきょうこれから収穫予定の棚になります」

記者「香りがマスクをしていてもする」

ここは、イチゴの“植物工場”です。植物工場とは、温度や湿度などが人工的に管理された環境で農産物を育てる施設です。太陽光の代わりにLEDライトなどを、土の代わりに培養液などを使うことで、気候や土壌の状態の影響を受けずに安定した栽培が可能になります。

代表の古賀さんは2年前、植物工場でのイチゴの量産に世界で初めて成功。気候条件の影響を受けずに野菜や果物を大量生産できる植物工場は、農業の新しいカタチになると古賀さんは考えています。

古賀大貴さん「(気候変動で)20年後、30年後の話では全然なくて、5年後、10年後にはイチゴが作れなくなっている可能性もある。それに対する一つの答えが植物工場」

世界の人口が増加の一途をたどる一方、地球温暖化による水害や干ばつで農業への被害は拡大。近い将来、世界的な食料不足が懸念されています。こうした中、植物工場の市場規模は急拡大していて、2028年には、今年の5倍近い約2兆円にまで達する見込みです。


■“高温に弱い”トマトも…持続可能な農業のカタチ

植物工場の建設ラッシュが起きているアメリカ。中西部ケンタッキー州を訪れると、東京ドーム約5.5個分の面積を誇る世界最大級の植物工場がありました。栽培されているのは高温に弱いとされるトマト。工場内は、太陽光とLEDライトを併用し、必要な水は全て雨水で賄うなど、持続可能な農業のカタチを追求しています。

案内されたのは、工場のいわば“管制塔”。

AppHarvest ジョナサン・ウェッブCEO「きょうのように曇っている日には、照明を使用します。太陽が出ていても曇っていても、常に同じ量の光を受けることができます」

この工場ができたことで、収穫量は屋外で栽培していたときの30倍に増えたといいます。

ジョナサン・ウェッブCEO「止まることのない気候変動の時代に突入しています。より多くの食料を作るには、テクノロジーを使うしかないのです」


■食料危機の解決方法は「植物工場であると確信」

専門家は、将来的に植物工場が従来の農業に置き換わる可能性が高いと指摘します。

コロンビア大学 ディクソン・ディポムイェイ名誉教授「全ての人に行き渡る食料を確保するための解決方法は、植物工場であると確信しています。今後は作物の多くが植物工場で作られることになるでしょう」

今年、ロサンゼルスでも新たにイチゴ工場を稼働させるなど急成長を続ける「Oishii Farm」。今後は、アメリカ以外にも進出を計画しています。

古賀大貴さん「(植物工場は)一切、外の気候変動に影響されずに、世界中どこでも電源さえあれば必ず同じ物を通年で再現できる。農業のあり方自体を変えていきたい」

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