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議事堂占拠から1年…トランプ氏の狙いは?

2022年1月7日 21:18

アメリカの議事堂占拠事件から1年。バイデン大統領が演説で、トランプ氏の責任を追及しました。そのトランプ氏は、「前回の大統領選で不正があった」と、今も主張し続けていて、アメリカ社会の分断が続いています。

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トランプ大統領(当時)
「議事堂へ向かって歩こう」

去年、1月6日におきた議事堂占拠事件。トランプ前大統領の支持者らが、大統領選挙の認定手続きを行っていた議事堂になだれ込み、警官ら5人が亡くなりました。

アメリカの民主主義を揺るがしたあの日から1年。バイデン大統領は、強い口調で何度もトランプ氏の責任を追及しました。

バイデン大統領
「前大統領は、2020年の大統領選について、うそを作り、拡散させた。アメリカ史上初めて、平和的な権力の移譲を阻んだ」

トランプ氏もすぐさまバイデン大統領の演説に反論

トランプ氏の声明
「バイデンは私の名前を使って、アメリカの分断をさらに深めている。選挙そのものが大うそだ」

この日、声明は出したものの姿を見せなかったトランプ氏。今、何をしているのでしょうか。

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年末、テキサス州ダラス。アリーナには長い列ができていました。そこで行われていたのは支持者向けの集会です。数千人が、トランプ氏を待ち構えていました。そして、トランプ大統領が登場すると、会場のトランプサポーターから大きな歓声があがりました。

こうした集会をたびたび開いているトランプ氏。必ず主張するのが、前回の選挙での「不正」です。

トランプ氏
「1月6日に起こったことは、不正選挙に対する抗議行動だ。(支持者の)暴動ではなかった」

不正があった証拠はないにもかかわらず、「トランプ氏が正当な勝者だ」と考える共和党の支持者は7割を超えます。そして──

司会者
「大統領の仕事をもう一度やる価値はある?」

トランプ氏
「ある。なぜなら私はこの国を愛しているから」

次の大統領選への出馬に意欲を示しました。

「自分たちの意思が正しく反映されていない」との思いが、トランプ氏の再登板を後押ししているのです。

中には事件で逮捕されてもなお、選挙での不正を訴え続ける人も。

トランプ支持者グリフィン氏(議事堂バルコニー、去年1月6日)
「人々は公平な選挙を求めている」

トランプ氏と面会した経験もある熱烈な支持者、グリフィン氏です。

グリフィン氏
「後悔はしていません。人生の中でも最も素晴らしい、愛国的な出来事でした」

グリフィン氏は、地元のニューメキシコ州で今も、票の数え直しを求め活動しています。

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支持者の根強い期待の中、トランプ氏は、今後どう動くのでしょうか。

元顧問で、今も毎週のように連絡を取るという側近、ジェイソン・ミラー氏に話を聞きました。

トランプ氏側近ジェイソン・ミラー氏
「トランプ氏は次の大統領選に出馬するでしょう。ただ、出馬表明は(中間選挙後の)年末か、来年初めまではしない」

“カギ”になるのは、11月の議会の中間選挙だと言います。

トランプ氏側近ジェイソン・ミラー氏
「重要なのは、『トランプ』という名前が投票用紙にない中間選挙でも、トランプ支持者に投票してもらうことです。そして上下両院の過半数を取り戻せば、次の大統領選に向けて、より有利になれます」

中間選挙の勝利の立役者として、次の大統領選に出馬するシナリオを描いているとみられるトランプ氏。議事堂占拠事件の逆風の中でも、さらなる支持拡大を目指しています。