オーストラリア・モリソン前首相「『クアッド』に大きな力をもたらしてくれるだろう」石破茂氏に期待感
オーストラリアのモリソン前首相は自民党の総裁に選出された石破茂氏について、新たなリーダーとして、日米豪印4か国の枠組み「クアッド」に大きな力をもたらしてくれるだろうと期待感を示した。
日本テレビのインタビューに答えた来日中のオーストラリアの前首相、スコット・モリソン氏。
―自民党の総裁が選ばれたが?
私はオーストラリアの首相として、安倍首相、菅首相、岸田首相と3人の首相と接した。2回の首相交代があったが、いずれもプロセスは非常にスムーズで継ぎ目なく、政策の方向性は非常に一貫していた。インド・太平洋地域における課題、特にオーストラリアとの協調の重要性を、日本側が継続的に認識していることが分かった。
―石破新総裁については?
お会いした事はないが、石破氏は国会で多くの経験を積んできており、防衛大臣としての経験も含め豊富な大臣経験もある。日本の防衛力増強と防衛費増額、そしてインド太平洋への関与に多大な役割を果たしてきた。日本は日米豪印4か国の枠組み「クアッド」の中で、非常に重要な指導的役割を担っている。石破氏にとり、これは新たな挑戦となると思う。私は石破氏が、クアッドに大きなエネルギーをもたらしてくれると確信しているし、とても楽しみにしている。
―日本の新首相に期待する事は?
自民党政権では長年政策が継続され、着実に実施されることがよく知られており、それが地域の真の安定をもたらしてきたと思う。友好国や同盟国との関係、オーストラリアをはじめ、アメリカやインド、地域諸国やASEANとの関わりなどは、自民党政権の重要な遺産だ。それは確実に、石破氏の下でも続くだろう。
―近年の中国の動きはどう見るか?
中国は非常に攻撃的な手法を取り、自己主張を強めている。最近では南シナ海問題、オーストラリアに対する違法な貿易制裁の適用などもあった。中国は体制維持の為に、地域での影響力を拡大しようとしていると見ている。中国とは積極的な経済関係を持つことができるが、同時に、軍事、外交、経済の各分野にまたがる戦略的抑止力を持つことも必要だ。
―日中関係については?
日本は、非常に賢明で見識のあるやり方で治めてきたと感じる。オーストラリアと中国との経済関係は、特に資源に支配されるが、日本と中国との経済関係はより広範であるからこそ、日本の取り得る選択肢は狭くなる事が多い。日本はこの狭い道を非常にうまく歩んできたと思う。
―石破氏に期待することは?
石破氏が自民党の一員として共有する政策は、我々の地域にとり非常にポジティブなものであり、何より石破氏は経験豊富な人物だ。それこそが支持された理由でもあるだろう。今は複雑な時代だが、彼の豊富な経験が役立つだろう。