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米一般教書演説 大半は雇用・景気対策

2011年1月26日 21:24

 就任3年目を迎えたアメリカ・オバマ大統領は25日、今年の内政や外交の方針を示す一般教書演説を行った。依然として高い失業率が続いていることから、演説の大半は雇用・景気対策に費やされた。ワシントン支局・平野亜由子記者が報告する。

 オバマ大統領にとって2回目となる一般教書演説は、中間選挙で共和党が大勝したことを受け、去年から雰囲気は一変した。今年新たに就任した共和党・ベイナー下院議長を前に、オバマ大統領は冒頭から共和党に協力を呼びかけた。

 オバマ大統領「民主党と共和党が協力して初めて新しい法案が通過できる。我々は共に前進するかしないか、どちらかしかない。我々が直面する挑戦は、政党や政治よりも大きいのだ」

 日本時間26日午前11時過ぎから始まった演説は、約1時間に及んだ。依然として高い失業率が続いていることから、オバマ大統領は、演説の大半を雇用・景気対策に費やした。雇用創出に向けて、全米の高速鉄道整備など公共投資を推進するほか、各国との自由貿易協定(FTA)締結を進め、14年までに輸出を倍増させる方針をあらためて強調した。課題となっている財政赤字の削減に向け、安全保障費や年金を除く政府の歳出を今後5年間、現状のまま維持する考えも示した。

 また、今回の一般教書演説で強調されたのが「国際的な競争力」だった。オバマ大統領は、中国とインドが金融危機から立ち直り、「この新しい世界で競争していく力がある」と警戒感を示し、アメリカ企業の競争力強化のため、法人税率を引き下げる方針を明らかにした。

 オバマ大統領「今度は我々の番だ。アメリカを地球上で一番ビジネスをしやすい場所にしなければならない。我々は財政赤字の責任を負い、税制改革を行わねばならない。我々の民主主義は時に議論や争い、いらだちを伴うが、ここにいる全員が、アメリカが地球で一番素晴らしい場所だと思っているはずだ」

 内政問題に演説の大半を費やしたことから、外交・安全保障に割かれた時間はわずかだった。核の不拡散を目指す考えをあらためて強調し、韓国と連携して、北朝鮮に対して核計画の放棄を迫る考えを示した。

 就任3年目となり、任期の折り返し地点を迎えたオバマ大統領。今回示した方針をこの1年でどれくらい実現できるかが、約2年後の大統領選挙で再選できるかどうかの鍵を握ることになる。