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天安門事件から23年…追悼集会阻止の動き

2012年6月4日 9:40

 中国で89年、民主化運動が武力で弾圧された天安門事件から4日で23年を迎えた。今年秋に指導部の交代を控え、安定を重視する中国政府は、引き続き民主化への動きを封じ込めている。

 北京の天安門広場で89年、多くの若者が軍の銃弾で命を失った。追悼集会が予定されているが、警察が厳重な警備を敷いて、集会を阻止している。

 天安門事件で息子を失い、追悼集会を計画した丁子霖さん(75)は、事件の真相究明を求める遺族の会「天安門の母」のリーダーだ。

 天安門事件をめぐっては、今年、温家宝首相が政治改革への決意を訴えたことから、政府が「動乱」としてきた事件の再評価への期待も出ていた。しかし、丁さんら遺族は「(民主化を封じ込める)鉄の扉は開いていない。中国政府は依然、裏で統制している。(指導部が交代する)党大会が近づくにつれ、緊張感が高まっている」と冷ややかに見ていて、盗聴や監視など、遺族らへの厳しい締め付けに変化はないと非難している。

 こうした中、事件の再評価が進まない絶望から、先月末、遺族の一人が「死をもって抗議する」と遺書を書き、自殺した。丁さんは「生きている人たちはどんなに苦しくても戦い続けるべき。息子の遺骨が木箱に入っている。公正が実現しないと、土に入れて終わらせることはできない」と話す。

 事件への再評価への動きが依然として見えない中、遺族たちは老いという時間との闘いに直面している。