“不漁”に負けない…サンマ漁が解禁 現状打開すべく“ある取り組み”も
秋の味覚のひとつといえばサンマ。今年もその漁が解禁になりました。ただ不漁の予測も出ていて、現状を打開しようと、ある取り組みが行われています。
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ジューシーな焼き目と香ばしい香りが食欲をそそるサンマ。都内にある焼き魚がウリの食堂「焼魚食堂 魚角 東十条店」では、現在、去年の冷凍サンマを使用し、年間を通して提供しています。
サンマの定食を食べに来たお客さんは…
客
「きょうは(サンマが)おいしかった。大きくなったサンマ食べたいけど、なかなか食べられない」
これからの秋に需要が高まるシーズンを迎えますが…
店長
「仕入れ値がかなり高くなっていて、10年前と比べると倍以上になってきています」
頭を悩ます仕入れの値段。この店では10年ほど前、690円だった「さんまの塩焼き定食」が仕入れ値が上がり、今では990円に。
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かつては…
記者(2007年)
「値段は1匹95円。安いです」
1匹100円前後で売られていたほど、身近な魚だったサンマ。
最近はサイズが小さいものが増え、仕入れ値は上がるいっぽう。その要因となっているのが、サンマの不漁です。
去年の全国の水揚げ量は15年以上前の10分の1以下に留まっていて、300円台だった卸売価格も約4倍の1200円台に。
店長
「高級魚に近い形にサンマがなっています。なるべく1000円以内で提供できるようにしたい。今年入ってくる値段がどうかによって申し訳ないけど、(値段を)上げざるを得ない状況になるかもしれない」
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深刻な不漁が続く中、7月末、今年も日本の漁場にやってくるサンマの量は去年と同じ低い水準になる見通しだと水産庁が発表。サイズは標準的なものよりも3割から4割ほど小さい“今までにないほど”小ぶりなものが中心になるとみられています。
こうした中、サンマ漁の組合がある試みを始めました。
先週土曜日(10日)、水揚げ日本一を誇る北海道根室市の花咲港では、大型船15隻が出港の準備に追われていました。
漁師
「最初から(サンマが)とれてもらえればいいかな。いっぱいとれたら皆さんの食卓にもいくと思うので頑張ってとってきたい」
サンマ漁の組合によると、従来、漁獲の偏りをなくすため、船のサイズによって解禁日をずらしているというサンマ漁。(例年のサンマ漁の解禁日:小型船 8月10日、中型船 8月15日、大型船 8月20日)
不漁が続く現状を打開するため、公海に漁に出る全ての船の解禁日を試験的に10日に統一したのです。この決定に各地の漁業関係者は…
第81豊清丸 中舘捷夫漁労長(気仙沼港、8日)
「ここ4~5年が低迷しているから、先行き不透明なんだけど、昨年のことは忘れて新たな気持ちで頑張ろう。それが私らの漁師の意気込み」
富山県の港でも…
中島漁業 中島泰成社長(魚津港、6日)
「何もしなければ今まで通り。違ったことをして可能性を求める。実際それが漁獲につながるのかどうなのか、やってみなきゃわかりませんので、今年はトライするよということ」
近年“高級魚”とまで言われるようになったサンマ。身近な秋の味覚へと戻ることが期待されます。