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“結婚と出産”促す政策進める中国 急速に進む少子化で… 反発の声も

2024年11月13日 19:38
“結婚と出産”促す政策進める中国 急速に進む少子化で… 反発の声も

かつては人口世界一だった中国。急速に進む少子化になんとか歯止めをかけようと、今、国を挙げて結婚や出産のメリットをアピールしています。ただ、やりすぎにもみえるその取り組みに反発の声もあがっています。

中国南部の湖南省・長沙市。街の中心部にある通りの入り口には「愛がこの街と出会う」の文字が。その通りには「長沙の恋は、超甘い」といった文字もありました。ハートや「恋愛・結婚」にまつわる言葉がいたるところにあり、見ているだけでちょっと恥ずかしくなりそうです。ちょうちんには「適齢期に結婚」「家庭を持つことは国家の利益」といった言葉まで。

実はこのエリアは、地元政府が「結婚を推進するため」に整備した、その名も「婚育文化街」。中国では今、こうした施設が次々に作られ、政府が若者の結婚と出産を強力に後押ししているのです。

その背景にあるのが深刻化する少子化問題です。11月に発表された、中国で今年1月から9月までに結婚した人の数は約475万組で、前の年の同じ時期より100万組近く減少し史上最低になりました。

2016年に「一人っ子政策」を撤廃した後も少子化に歯止めはかからず、生まれた子どもの数はこの7年間で約半分に。「子を増やすこと」が国家目標になっているのです。

◇中国の出生数
 2016年:1867万人
 2023年: 902万人

「婚育文化街」のエリアの中にあったのは、若者向けに結婚と出産にまつわる情報を発信する施設です。

記者
「『結婚の学校』って書いてあります」

案内してくれた男性スタッフは…

施設スタッフ
「前向きに報道してくれ。国が重視する重要な宣伝なんだ。人口の急減少に国が打ち出した政策だ。『子どもは3人』」

“家族になったらすべきこと”を集めた展示では…

記者
「3人産む、が多い」

子どもを3人、若いうちにもうけることを猛烈に勧めています。

さらに根拠が分からないこんな発言も…

施設スタッフ
「精子と卵子が『黄金活躍期』にできた子どもは脳と体の発育が優れているんだ」

男性が妊娠の痛みを理解するため、電気を流して陣痛を疑似体験できる装置もありました。記者が体験してみると…

記者
「結構強いぞ、これで20%か」

こうした、ただ「子をもつこと」を強く促す政府の取り組みついて、女性からは…

「人口が減るのは女性の責任じゃないでしょ」
「ここに『結婚学校』があると『みんな早く結婚しろ』と言うのと同じです。逆効果で気分が悪くなります」

子どもをもつことを“国が押しつけている”と批判の声も上がっています。

しかし、中国当局の発表した資料には、そうした民意を無視するような「結婚や子育てはあくまで私的なことで個人の自由だと考える人がいる。この見方は間違っており一方的だ」という言葉がありました。

また、「出産すべき」とのアピールに熱が入りすぎたのか、少子化対策を担う政府機関のSNSでは、10月に出産のメリットとして「(出産は)女性を賢くする」と主張し、「うそばっかりだ」などと批判が殺到。文章は削除されました。

さらに、地元の役所から妊婦に直接、こんな電話もかかってくるといいます。

妊婦
「『検査は異常ないか』とか『いつ出産するか』とか」

妊婦
「毎日電話があるよ」

──何を聞かれるの?

妊婦
「なんでも」

中国メディアによると、未婚女性に対しても一部の役所から「妊娠したのか?」「子どもをもつ予定は?」など、出産の計画を尋ねる電話があったといいます。

結婚・出産への干渉を強める中国政府。一方で若者たちは、高騰する結納金への対策や子育て支援の拡充など、環境整備の必要性を訴えています。

最終更新日:2024年11月13日 19:38