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アメリカで注目!和食に欠かせない“味覚”

2014年4月4日 14:58
アメリカで注目!和食に欠かせない“味覚”

 2013年12月、ユネスコの無形文化遺産に登録された和食。その和食に欠かせないある“味覚”が今、アメリカで注目されている。田口舞記者が取材した。

 アメリカ・カリフォルニア州に急成長を遂げるハンバーガー店がある。その名も“UMAMIバーガー”。どんなハンバーガーなのだろうか?店員によると「トッピングはパルメザンチーズと炒めたたまねぎ、ローストトマト、そして椎茸(しいたけ)です」とのことだ。

 このハンバーガーは、椎茸などの食材からうみだされる“うま味”を意識して作られていた。その味はというと、チーズ、トマト、椎茸の味が後から効いてきて、風味を感じることができる。肉の味が強いアメリカのハンバーガーの中では珍しいハンバーガーだ。“UMAMIバーガー”は現在、全米27店舗を展開している。店員はこの“うま味”をいかしたコンセプトについてこう語る。

 「“うま味”は英語にない言葉ですし、少しずつ知られるようになった言葉ですが、コンセプトは日本からインスピレーションを受けています」

 3月3日、ニューヨークでも“うま味”を紹介するイベントが行われた。“うま味”とは、甘い、酸っぱいなどと並ぶ味覚の一つ。和食には欠かせないこの“うま味”が、アメリカでも浸透しつつある。会場内に鰹節(かつおぶし)を紹介するブースがあった。新丸正の柴田営業部長は、アメリカでの“うま味”への関心の広がりについてこう語った。

 「鰹節って削り節はみなさんご存じですけど、塊の鰹節はご存じじゃないので興味を持っていただいてます。“うま味”という言葉は通じますし、“ダシ”という言葉も通じますし、認識が急激に深まったと思います」

 会場では、“うま味”を生かした料理のコンテストも行われた。コンテストに参加したシェフが「ここに乾燥椎茸の粉を入れます。これで“うま味”のパンチが効きます」と説明しながら調理していた。コンテストに応募したのはアメリカのシェフ約20人。日本の食材を使った独自のレシピを競い合う。優勝したのはアメリカ創作料理のシェフ、アーノルド・マルセラさん。シイタケやマイタケ、麹(こうじ)などの“うま味”を生かした料理が評価された。観客に話を聞くと「シェフによる“うま味”の使い方は興味深いものでした」と語ってくれた。

 ニューヨーク市内にあるマルセラさんの店を訪ねた。忙しく働くマルセラさん。この日も“うま味”を生かした創作料理を作っていた。食材を前に「これは日本産のコンブです。魚を間に挟んで重ねて双方に“うま味”を出していきます」と教えてくれた。昆布締めにしたスズキに、ジュレをかける。カツオとコンブからとったダシでできたジュレだ。そこに、ライムとシソをちらせば完成だ。マルセラさんの店ではメニューの半分が“うま味”を強調したものだという。料理を食べた客からは「とてもおいしかったです。一番驚いたのは、食べたときに感じた風味がワインととても合っていたことです。“うま味”の豊かさとワインの良さを引き出せる力に驚きました」との声が聞けた。マルセラさんは“うま味”の魅力をこう話す。

 「豊かな“うま味”が出ると料理に風味が増して多様性がでるので、まるで贈り物のようなものです」

 アメリカに浸透する日本の“うま味”。今後も様々なジャンルの料理と組み合わされることで、さらなる広がりを見せそうだ。