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「配給制は崩壊」脱北者への調査で見えた“北朝鮮の生活“ 韓国政府“公開の狙い”は?

2024年2月7日 20:05
「配給制は崩壊」脱北者への調査で見えた“北朝鮮の生活“ 韓国政府“公開の狙い”は?

韓国政府は、脱北者を対象にしたアンケートの結果を6日に公表しました。

■「配給制は崩壊」 約7割が“配給を受けた経験がない”

今回行われたアンケートは、2020年までに北朝鮮から韓国に脱北した6351人を対象としたものです。アンケートの内容は、北朝鮮の経済や社会、住民意識などについて、全部で160項目にわたりました。

具体的な結果をみると、金正恩総書記の世襲については否定的な評価が56.3%と、半数以上の脱北者が世襲に否定的であることがわかりました。

食料については、北朝鮮では社会主義のもと、食料の配給制が続けられていますが、「配給を受けた経験がない」と答えた人が72.2%でした。そのため、9割以上の人が「市場がないと生活ができない」と答えていて、「配給制は崩壊した」と報告されています。

また、映画やドラマなど、国外の映像をみたことがある人が83.3%にのぼりました。厳しい政権下でも国外の情報が北朝鮮に流れていることがわかりました。

■アンケート結果を公開 韓国政府の狙いは?

藤井貴彦キャスター
「今回の調査を通じて、北朝鮮の人々の生活について何かみえてきたことはあるのでしょうか?」

横田明 NNNソウル支局長
「報告書からは、北朝鮮の人々が、苦しい中でもなんとか生き抜こうとしていることがうかがえます。報告書によると、約20年前に脱北した人のうち、1日3食の食事をとれていたと答えた人は全体の3割ほどでした。しかし、2016年以降に脱北した人では、9割以上の人が1日3食の食事がとれていたと答えています。北朝鮮の食糧難が伝えられる中、配給にはたよらず、市場で買い物をすることで、苦しい中でも自力で生き抜こうとする北朝鮮の人々の様子がうかがえます」

藤井貴彦キャスター
「韓国政府が今回、このような発表を行ったのはなぜなんでしょうか?」

横田明 NNNソウル支局長
「韓国政府としては、北朝鮮へ厳しい姿勢で臨んでいくことを強調する狙いがあります。今回の報告書は10年前から聞き取っていた脱北者への調査をまとめたもので、これまでは公開されないできました。それを今回、北朝鮮に強硬な姿勢で臨む現在の尹錫悦政権が、あえて公開に踏み切ったかたちです。その背景について韓国政府関係者は『北朝鮮の国民の生活を改善するためにどのような努力ができるかを考えた結果だ』と話しています。韓国政府としては、北朝鮮の金正恩政権が核ミサイル開発を優先し、人々の生活の向上をないがしろにしていることを強調することで、北朝鮮への非難を国際社会に広げる狙いがあります」

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