【解説】韓国・尹大統領、逮捕の可能性は? 出頭要請に応じず…“時間稼ぎ”指摘も
韓国の尹錫悦大統領の非常戒厳をめぐり、尹大統領が25日に予定されていた韓国の合同捜査本部の出頭要請に応じませんでした。この先の見通しについて、ソウル支局の横田明記者に聞きました。
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──逮捕状の請求も検討するということですが、尹大統領の逮捕は近いのでしょうか?
ソウル支局・横田明記者
「捜査当局がすぐ逮捕に踏み切るという展開は、現状では可能性は低いとみられます。そもそも合同捜査本部には逮捕状の請求をめぐり『あまりにも先の話で、まだ検討することがたくさんある』と慎重な姿勢を示す関係者もいます」
ソウル支局・横田明記者
「尹大統領はこれまでに検察の出頭要請に1回、合同捜査本部の要請に2回応じていませんが、韓国では一般的に、同じ捜査当局から3回の要請に正当な理由なく応じない場合、その段階で初めて逮捕状の請求を検討するとされています。ですので、まだその段階に達していません」
「その上、尹大統領は職務停止中といえど、現職の大統領であることに変わりはありません。これまで、韓国の現職大統領が逮捕されたという例はなく、影響が大きいことだけに、ハードルは相当高いとの指摘もあります」
──尹大統領は、捜査よりも弾劾審判を優先する意向ということですが、審判に向けて何か動きはあるのでしょうか?
ソウル支局・横田明記者
「実は尹大統領は、審判に向けて“時間稼ぎ”とも指摘される対応をとっています。尹大統領が弾劾に相当するかを判断する憲法裁判所は、27日に初めて弁論準備手続きを予定していますが、尹大統領側は手続きに向けた書面を受け取らないでいます」
「憲法裁判所は書面が届いたとみなし、27日の手続きは予定通り行う方針ですが、韓国メディアからは尹大統領が『審判を遅らせようと不当に時間稼ぎをしている』と批判されています。時間稼ぎの理由は、弁護団の選任が間に合っていないからとの見方も出ています。尹大統領はこれまでに『弾劾にも捜査にも堂々と立ち向かう』としていて、言葉と行動が伴っていないなどとの批判も噴き出しています」