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米・トランプ政権でどう変わる?

2017年1月2日 19:10
米・トランプ政権でどう変わる?

 アメリカで今月20日、トランプ政権がスタートする。その政策が波紋を広げる中、アメリカと世界はどう変わるのか。ワシントンから伝える。

 新たな主を迎えるホワイトハウスでは1月20日の就任式に向けた準備が進んでいる。この場所からトランプ氏はアメリカ、そして世界をどこへと導くのか?

 12月、トランプ氏は各地で熱狂的な支持者を前にこう連呼した。

 トランプ氏「3つのとても大切な言葉がある。雇用、雇用、そして雇用だ。アメリカ第一!」

 アメリカ経済をより強くして、雇用を拡大する。トランプ氏は政権発足後、まずは、生活不安を抱える白人労働者、つまり自らを勝利へと導いてくれた支持者を意識した政権運営を行うものとみられる。

 目玉政策は大型減税と大規模なインフラ投資。ただ、財政赤字の拡大など経済へのマイナスの影響が早くも指摘されている。

 一方、外交面でもアメリカの経済と雇用にマイナスだと判断した国には、強い姿勢でのぞむものとみられる。最大のターゲットは中国。トランプ氏はツイッターなどで中国の貿易政策は不公平だと重ねて批判。その解消に向けたカードとして、中国が最も嫌がる、台湾は中国の一部という「1つの中国」の原則にこだわらない姿勢をちらつかせている。外交の専門家はこう指摘する。

 日本国際問題研究所・小谷哲男主任研究員「『1つの中国』をレバレッジ(=テコ)に使うと相当、米中関係を緊張させる可能性がある」「『オバマ政権の南シナ海政策は失敗だ』と(トランプ氏の周辺から)一致して聞こえてくる。南シナ海でより強い姿勢で臨むことが考えられる」

 また、アメリカ国民のテロへの不安を取り除くため、トランプ氏は過激派組織「イスラム国」の壊滅に向けて動くことになりそうだ。そのためには、ロシアと手を結ぶことも必要と考えていて、国務長官にはプーチン大統領の「友人」とも言われるエクソンモービルCEO・ティラーソン氏を指名した。

 一方、気になるのは日本との関係。トランプ氏はどの首脳よりも早く安倍首相と会談したが、いまだ日米同盟に対する考えは聞こえてこない。専門家は尖閣諸島の問題でトランプ氏が踏み込んだ対応を取る可能性を指摘する。

 日本国際問題研究所・小谷哲男主任研究員「(尖閣諸島の問題で)オバマ政権より一歩強いメッセージを出すことも検討するのではないか。トランプ氏自身が沖縄を訪問し、それによって中国をけん制することも」

 「予断を持たずに臨む」-ワシントンの日本大使館幹部はこう繰り返している。日本も含め、世界の目が絶えずこのホワイトハウスに向けられることになりそうだ。