習主席、ゼロコロナ堅持の方針「総合的に見ると最も経済的」
中国の習近平国家主席は、新型コロナウイルスを徹底的に抑え込むいわゆる「ゼロコロナ」について、「総合的に見ると最も経済的だ」と述べ、堅持する方針を改めて強調しました。
習主席は28日、世界で最初に新型コロナの感染拡大が確認された湖北省の武漢市を視察しましたが、国営・新華社通信は、習主席が視察の際にゼロコロナ政策の重要性についても訴えたと伝えました。
この中で習主席は、「中国は人口規模が大きく、『集団免疫』や『成り行き任せ』の政策を行えばどのようなひどい結果になるのか想像もつかない」と述べ、ゼロコロナ政策の正当性を強調しました。
また、「一時的に経済に影響があっても、国民の生命の安全や健康が損なわれてはならない」と述べた上で、「総合的に考えると、ゼロコロナは最も経済的かつ効果的だ」と述べ、あくまでゼロコロナ政策を堅持する考えを示しました。
ただ、ゼロコロナをめぐっては、市民生活への影響の大きさから不満もくすぶっています。
27日には北京市の共産党トップが、「今後5年、北京はゼロコロナの方針を堅持する」と表明したと中国メディアが伝えると、ネット上では「あと5年も続くのか」などと悲鳴にも似た書き込みが相次ぎました。
その後、「今後5年」の部分は削除され、掲載元の中国メディアの幹部が、記者が誤って加えたと釈明しましたが、市民たちの中でゼロコロナに対する我慢が限界に近づいている一端も明らかになりました。
国営新華社通信によりますと、李克強首相も27日、政府部門の会合で、「経済は全般的に回復したが、基盤はまだ堅固ではない」と述べ、雇用環境の悪化に警戒を呼びかけました。
李首相はまた、「新型コロナ対策と経済や社会の発展を効率的に両立させる必要がある」と改めて強調しました。
上海の長期にわたるロックダウンなどによる中国経済の失速に懸念が深まる中、中国政府はゼロコロナの看板を維持したまま経済の回復を推し進めるという難しい課題に直面しています。