【全文】「福島の復興再生に全力」原発避難者訴訟で 官房長官会見(6/17午後)
松野長官は17日午後の会見で、東京電力福島第1原発事故の避難住民らによる訴訟で、国の責任を認めなかった最高裁判決を受け「引き続き被災者に寄り添い、福島の復興再生に全力で取り組んでいきたい」と述べました。
<会見トピックス>
▽福島第一原発訴訟
▽皇宮警察
▽日銀金融政策決定会合
▽WTO閣僚会議
▽観光需要喚起策
▽中国空母
▽岸田首相の愛知・三重視察
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
私からの冒頭発言はございません。
――東京電力福島第1原発事故で避難した住民らが国に損害賠償を求めた集団訴訟で、最高裁は先ほど国の賠償責任を認めない判決を言い渡した。
最高裁として初めての判断だが、政府としての受け止めは。
○松野官房長官
本日、東京電力福島第1原子力発電所事故に関して福島県から避難した住民などが国家賠償を求めていた裁判について、最高裁判所において国の規制権限不行使が違法とは言えないとする判決が出されたものと承知をしています。
いずれにしても引き続き被災された方々に寄り添って福島の復興再生に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
――最高裁判決では国が中間指針で定めていたの賠償の範囲以上の賠償について認められている。
全国で他に約30同種の訴訟が起きていて、原告になってないけれども、同じ境遇の被災者もいらっしゃる。
中間指針の賠償範囲量の賠償が必要かと思うが議論中の中間指針の方は、見直さざるを得ないのでは。
○松野官房長官
中間指針の見直しも含めた議論については、すでに本年4月以降、文部科学省に設置された、原子力損害賠償紛争審査会において、公正中立な立場から議論に着手いただいているものと認識をしています。
――判決では長期評価通りに対策をとっても結局津波による浸水を防げなかったと認定している。
政府の再稼働を進めて最大限に活用するという原発についての方針は変わりないということでいいか。
○松野官房長官
詳細に関しましては、経済産業省の方にお尋ねをいただきたいと思います。
――皇宮警察について。
6月4日に赤坂御用地に男性が侵入した事件があった。
また4月には男性の護衛官がパチンコ店でジャケットを盗んだ事件も発生。
そのほかにも数々の不祥事もあり、また2004年から2006年にかけては3人の護衛官が自殺している。
今回、週刊誌で皇宮警察の内部の話で、匿名でなく実名報道があった。
こういう不祥事が発生する皇宮警察をどうお考えか。
また秋篠宮家の眞子さまご成婚以来、皇室が注目されており、さまざまなスキャンダルが報じられ、国民は不安に思っている。
特に皇宮警察は皇族の安全について警備するわけで関心が高いと思うが、こういう問題について、防止のうえでも説明責任があると思うが、長官はいかがお考えか。
○松野官房長官
警察において不祥事案が発生した場合にはその都度厳正な調査や処分が行われ綱紀粛正が図られているものと承知をしていますが、詳細については警察庁にお尋ねをいただきたいと思います。
――関連。
皇宮警察は宮内庁の管轄であり、宮内庁は内閣府の管轄なので、長官がトップだと思うが。
今のところ宮内庁の会見には参加できないが、直接、参加して聞いてもいいのか。
○松野官房長官
まず一点、事実関係として申し上げますと皇宮警察に関しましては警察庁の組織となっております。
会見の参加につきましては、今私の方で事情を承知しておりません。
――話題変わりまして金融政策について。
日銀は金融政策決定会合で、今の大規模な金融緩和策を維持することを決めた。
また決定内容の公表文には、リスク要因として、金融為替市場の動向や、わが国経済物価への影響を十分注視する必要があると明記した。
日米の金利差の拡大などを背景に円安が急速に進んでいることを踏まえたものだとみられている。
政府としての受け止め、今後の対応は。
○松野官房長官
本日の、金融政策決定会合において日銀はこれまでの金融市場を調節方針の維持などを決定したものと承知をしております。
金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべきと考えていますが、今後とも日銀には政府との連携のもと、経済物価、金融情勢を踏まえつつ適切に金融政策運営を行われることを期待しております。
金融為替市場の動向については、先般、開催された3者会合で確認をした通り、政府、日銀として最近の為替市場では、急速な円安の進行が見られ憂慮をしている。
為替市場の動向やその経済、物価等への影響を一層の緊張感をもって注視していくなどの認識を共有しているところであります。
リスク要因にかかるご指摘の記述はこうした認識に沿ったものと受け止めています。
――話題変わりまして、WTO閣僚会議について。
スイスで開かれた閣僚会議は、約6年半ぶりに閣僚宣言を採択し、閉幕した。
ウクライナ侵攻など、国際情勢や経済環境が不安定化する中、食料不足など、食料安保の分野では、不必要な輸出制限はしないというWTOのルールを各国が遵守することなどが宣言に盛り込まれた。
会議と、閣僚宣言への評価は。
○松野官房長官
閣僚級交渉を延長して行い、現地時間の本日の朝、成果文書の採択に至ったと承知をしています。
政府として成果文書ではWTOのメンバーである164の国・地域が一致してパンデミック対応や食料安全保障をはじめとする重要分野における取り組みの方向性を示し今後のWTOの取り組みに推進力を与えることができたと評価をしています。
わが国としても国際社会がコロナ禍やロシアによるウクライナ侵略といった問題に直面する今、WTOは今後進むべき方向性を示すべきである旨主張し、積極的に議論に貢献をしてきたところであります。
引き続きわが国としてWTOを中核とした自由で開かれた多角的貿易体制の維持・強化のための取り組みを主導していく考えであります。
――新たな観光需要喚起策について。
斉藤国交大臣が今朝の閣議後会見で、全国を対象とした観光需要喚起策を発表したが、 この政策の名称は。
またこの政策の狙いや、県民割からこの新しい政策に変更した理由について。
○松野官房長官
今週15日に総理からご発言があったとおり、6月中の感染状況を見極めた上で、感染状況の改善が確認できれば、7月の前半より全国を対象とした、観光需要喚起策を実施することとしています。
制度の内容は先ほど、斉藤国土交通大臣より発表されましたが全国を対象とした観光需要喚起策であり、名称については「全国旅行支援」を考えているものと聞いています。
国の支援事業として全国を対象とした新たな需要喚起策として実施をし、特に地方への観光に対する配慮、旅行需要の分散等の観点から、交通付き旅行商品の割引条件、上限額を引き上げる、クーポン券の金額に平日と休日で差をつけるなどの措置を新たに講じることとしているものと承知をしております。
これにより全国的な観光需要を喚起するとともに、旅行者の皆さまにより遠方への旅行を促進する、休日から平日への需要分散させるなどの効果を見込んでおり、地域観光をより一層強力に支援してまいりたいと考えております。
――中国の空母について。
中国の国営メディアによると、中国で3隻目となる空母が進水。
電磁式カタパルトを採用し、艦載機運用能力が向上すると見られている。
就役は数年後と見られているが、日本やインド太平洋地域の安全保障への影響についてどう分析してるのか。
○松野官房長官
中国は、3隻目の空母の建造を含め、海上戦力の近代化を急速に推進しています。
こうした軍事力の広範かつ急速な強化に加え、海空域における軍事活動等の急速な拡大活発化や国防政策の不透明性などを踏まえれば中国の軍事動向はわが国を含む地域と国際社会の強い懸念となっています。
今後とも重大な関心を持って関連動向を注視する考えであります。
――本日の総理の視察について。
視察先の愛知県豊田市では先月に大規模な漏水事故が発生している農水省所管の取水施設がある。
トヨタはじめとした工業用水や農業用水での制限がまだ続いているが、地域では大変な関心事に。
総理の視察先からは数キロ程度の距離だったが、今回現地の視察を検討されなかったのはなぜか。
三重県での政務の日程の前に公務としてはできなかったのか。
○松野官房長官
総理におかれては、本日愛知県でトヨタの自動車工場を訪問し、骨太方針や新しい資本主義のグランドデザインや実行計画がまとまったことを受け、その具体化を図っていくため、官民で連携し、わが国の成長産業であり、クリーンエネルギー戦略の大黒柱である自動車産業の活躍につなげていくことについて、意見交換を行ったものと承知をしています。
明治用水頭首工の漏水事故については、農林水産省において、関係機関と連携のもと、貯水ポンプによる緊急的な取水によって、この時期における平年の取水量の半分程度を農業用水、工業用水として供給しており、現在は平年並みの取水量を確保するための応急工事を来月下旬の完了を目指して今月14日から実施するなど適切に対応しているものと承知しております。
なお総理の視察先や日程に関しましては、諸般の事情を踏まえて設定されているところであり、これ以上のお答えは差し控えさせていただきたいと思います。