【全文】出産育児一時金の増額「来年度から実施したい」 官房長官会見(6/17午前)
松野長官は17日午前の会見で、岸田総理大臣が大幅な増額の方針を表明した「出産育児一時金」について「年末の予算編成過程において結論を出し、来年度から実施して参りたい」と述べました。
<会見トピックス>
▽閣議概要
▽中央防災会議
▽サイバーセキュリティ戦略本部
▽衆議院小選挙区見直し
▽こども家庭庁設立準備室
▽太平洋島嶼国
▽節電ポイント
▽仏独伊ウクライナ首脳会談
▽重要インフラ行動計画
▽北朝鮮核実験
▽出産育児一時金
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。
国会提出案件7件、法律の公布、政令、人事が決定されました。
大臣発言として、岸田総理大臣および総務大臣から、衆議院議員選挙区画定審議会の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告について。
岸田総理大臣から海外出張不在中の臨時代理についてそれぞれご発言があり、私から、内閣提出法律案等の成立状況について申し上げました。
次に、本日、中央防災会議を開催いたしました。
会議では、日本海溝・千島海溝地震特措法の改正を踏まえ、津波避難対策の強化を図る地域の指定について諮問があったほか、令和3年度に発生した災害等を踏まえ、防災基本計画の変更や、令和4年度総合防災訓練大綱が決定されました。
最後に総理から各大臣に対し、災害が激甚化、頻発化する中、本日の決定事項に基づく防災減災対策の充実強化を一層の緊張感をもって着実に推進し、万全の体制で災害対応に臨むようご指示がありました。
本日の決定を受け、さらなる防災減災対策の充実強化に向け、政府一体となって対策を着実に推進をしてまいります。
次に本日、サイバーセキュリティ戦略本部を開催しました。
会合では、年次計画であるサイバーセキュリティ2022ほか、重要インフラのサイバーセキュリティに関わる行動計画、令和5年度予算重点化方針について決定しました。
本部長である私からは、昨今の情勢を踏まえ、インシデントの未然防止の観点から、省庁間や官民間の情報共有、連携体制のさらなる強化に向けた検討を深めるとともに、東京大会でのサイバー対策の実績等も含め、我が国のサイバー能力を各国に向けて積極的に発信し各国との協調連携をより一層深めていただくようお願いを致しました。
政府においては引き続き、サイバーセキュリティ戦略に基づく施策を着実に実施してまいります。
次にきのう衆議院議員選挙区画定審議会の川人会長から岸田総理に対し、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案について、勧告が行われました。
勧告は25都道府県140選挙区において改定を行うこととするものであり、この結果、現在23ある格差が2倍以上の選挙区はゼロとなり、各選挙区間の人口の最大格差は2.096倍から1.999倍に縮小をされます。
なおこの勧告につきましては本日、国会に報告を行う予定です。
次に、こども家庭庁設置法が成立したことを受け、本日、こども家庭庁設立準備室を発足させました。
この準備室は、来年のこども家庭庁設立を準備するにとどまらず、その発足を待つことなく、野田大臣を中心に関係省庁としっかり連携して、喫緊の課題である子供政策の充実に向け、速やかに取り組むものであります。
具体的な内容については内閣官房にお尋ねをください。
私からは以上でございます。
――(衆議院小選挙区の)10増10減について。
10減対象には自民党の有力者が地元とする県も含まれており、各党内の候補者調整が今後の焦点となるが、あらためて政府の受け止めと今後の対応について。
○松野官房長官
勧告いただいた改定案については、各選挙区の人口格差を2倍未満とするとともに第49回総選挙当日有権者数で、格差2倍以上となっている状況も考慮し、地域のまとまりなどにも配慮しながら、最善と考えられる改定案を取りまとめられたものと承知をしています。
今後、政府としては勧告に基づき、必要な法制上の措置を講じてまいりたいと考えています。
――関連で伺う。
「本日、国会に報告を行う予定だ」とのことだったが、どのような形で行うのか。
○松野官房長官
詳細、方法については総務省にお問い合わせをいただきたいと思います。
――関連。
今回の区割審の勧告では、都市部への選挙区集中が進み、地方の声が届きにくくなるとの懸念が自民党内などからも出ている。
こうした見方を政府としてどう考えているか、また、今後どう対応していくのか、政府の見解を伺う。
○松野官房長官
地方選出の国会議員が減少することを懸念する声があることは承知をしています。
一方、衆議院小選挙区の都道府県別定数は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法に規定される、いわゆるアダムズ方式により、令和2年国勢調査の日本国民の人口に基づき、計算することとされているところであります。
政府としては、勧告に基づき必要な法制上の措置を講じて参りたいと考えております。
――太平洋諸国をめぐる新たな構想について。
アメリカのキャンベル・インド太平洋調整官が中国への対抗を念頭に、来週、日本やオーストラリア、イギリスなどと連携して、太平洋諸国への関与を強化するための新たな構想を立ち上げると明らかにした。
日本政府としての見解と構想にどのように関与していく方針なのか。
○松野官房長官
ご指摘のキャンベル米国NSCインド太平洋調整官の発言は承知をしていますが、外交上のやりとりにつきましてお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。
日本は太平洋島嶼国との間で長年の友好的な関係を有しており、これまで太平洋島サミット等を通じて協力を深めてきました。
また自由で開かれたインド太平洋の実現に向けても要となる地域であり、日本と同様に、この地域に深く関与する米国、オーストラリア、ニュージーランド等とも連携をしてきています。
引き続き、太平洋島嶼国のニーズを踏まえつつ、日本の強みを生かした協力を進めるとともに、関係国との連携も強化をしていきたいと考えています。
――節電へのポイント付与の関連で伺う。
萩生田経産大臣が昨日、電力各社が行っている節電ポイント付与の取り組みを官民連携のもとに、さらに広げていく方針を表明。
値上がりする電気代対策の狙いもあるかと思うが、日本のキャッシュレス決済比率は、依然他国に比べて低く、特に高齢者については、キャッシュレス決済やポイントに不慣れな人も多いかと思うが、そうした方々への対応はどのように考えているのか。
○松野官房長官
既に一部の電力会社において、省エネなどをした際に、ポイントを付与するといった取り組みが開始されているところであります。
こうした事例の中には、キャッシュレスや、アプリの利用を前提としないものも存在すると承知をしており、政府としても、必ずしもキャッシュレス決済やポイント還元ありきで検討されているものではないと承知をしております。
いずれにしても、官民連携のもと、こうした取り組みをさらに広げ、スピーディに効果を得るために、どのような措置を講ずることが効果的か、早急に検討を進め具体的にお示しをしていきたいと考えております。
――ヨーロッパ首脳とウクライナ大統領との首脳会談について。
フランス、ドイツ、イタリアの首脳がウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。
ヨーロッパとしてウクライナへの支援の姿勢を鮮明にする狙いがあると思うが、受け止めを。
また各国首脳が相次いでウクライナ訪問しているが、改めて岸田総理のウクライナ訪問について日本政府の考え方は。
○松野官房長官
ショルツ・ドイツ首相、マクロン・フランス大統領、ドラギ・イタリア首相がともにキーウを訪問したと承知をしております。
我が国としてもこうした同志国の動きに注目をし、G7の場でも連携を確認をしているところであります。
我が国は祖国を守ろうと懸命に行動するウクライナの国民と共にあります。
これまで累次にわたる首脳電話会談や外相会談などこうした連帯を示しながら、ウクライナ政府との間で緊密に意思疎通を行ってきています。
そのような中、強力な対露制裁措置を講じつつ、ウクライナへの人道支援や財政支援、防衛装備品の供与等、我が国としてできる限りの支援をタイムリーに行うことで、ウクライナからの要請にしっかりと対応してきているところであります。
日本政府要人によるウクライナ訪問については現時点で計画はしていませんが、ウクライナに連帯を示す手段は多様であり、引き続き日本として適切な形で対応していく考えであります。
――重要インフラの行動計画について。
政府は先ほど開催したサイバーセキュリティ対策本部で重要インフラに関わる行動計画を改定した。
計画では事業者側のセキュリティ対策に不備があって、情報漏えいなどの損害が生じた場合に、経営陣は賠償責任を問われうると明記するなど経営責任を明確化した。
企業のセキュリティ対策は専門部署任せになりがちな実態もあるが、経営陣の責任だと明確にした狙いと、今後事業者はどのような対応を取るべきか。
○松野官房長官
重要インフラを取り巻くサイバーセキュリティに関する脅威が年々高度化、巧妙化している中で、それぞれの事業者等が適切な対策、管理を行うためにはシステム担当者による取り組みのみならず、経営層を含めた組織全体での対応が必要不可欠であります。
経営層が内部統制システムの構築など、組織統治を行うにあたっては、サイバーセキュリティの観点を組み入れ、当該組織の特性に応じた適切な予防措置や被害発生時の措置を構築、維持することが求められているところであります。
今回の行動計画の改定にあたっては、そうした経営層の責任を明記することとしたものであります。
政府としては、これにより、重要インフラ事業者等の経営層におけるサイバーセキュリティへの意識がより高まることを期待をするとともに、今後改定するセキュリティ確保のための指針に具体的な方策を盛り込むことにより、事業者等が的確な対策を実施できるよう促して参りたいと考えております。
――北朝鮮の核実験の兆候について。
米国のシンクタンクCSISは北朝鮮の核実験場で新たな行動が確認されたという分析結果を発表した。
7回目に向けた整備作業が進んでいるとみられるが、政府の現状分析と対応方針は。
○松野官房長官
ご指摘の米シンクタンクの分析結果については承知をしております。
政府としては平素から北朝鮮の軍事動向について必要な情報収集、分析を行ってきており、今後北朝鮮が核実験の実施を含め、さらなる挑発行為に出る可能性があるものと考えています。
北朝鮮による核ミサイル開発はわが国および国際社会の平和と安全を脅かすものであり断じて容認できません。
政府としてはひきつづき必要な情報の収集分析および警戒監視に全力を挙げていくとともに、北朝鮮の完全な非核化に向け、日米、日米韓で緊密に連携をしていく考えであります。
――出産育児一時金について。
選挙前に総理が大幅増額を打ち出した以上、国民の期待は高まる。
金額は厚労省の実態調査の結果や財源議論がまだ必要と思うが、いつまでに結論が出そうか。
○松野官房長官
出産育児一時金の支給額については出産にかかる経済的負担の軽減をはかるため、現在実施している出産費用の実態調査の結果等も踏まえながら今後厚生労働省の審議会において議論をされる予定であります。
その上で、総理のご指示も踏まえ、政府として、年末の予算編成過程において結論を出し、来年度から実施をして参りたいと考えております。