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金正恩委員長の実妹、与正氏とは?

2018年2月9日 18:53

平昌オリンピックが9日に開幕。夜の開会式に、北朝鮮の金正恩委員長の実の妹、与正氏が出席することになり注目されている。金与正氏とはどんな人物なのか?「news every.」小西美穂キャスターが解説する。

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■肩書は「朝鮮労働党宣伝扇動部第一副部長」

与正氏は9日午後、韓国の仁川空港に専用機で到着した。空港の貴賓室に通された与正氏はほほえみを浮かべ、北朝鮮ナンバー2の金永南氏に先に着席を促す場面もあった。与正氏は金正日総書記と高英姫夫人の間に生まれ、金正恩委員長の実の妹にあたる。1987年~89年生まれという説があり、そうだとすると今は30歳前後となる。

ちなみに、マレーシアで去年殺害された金正男氏は異母兄弟だ。与正氏はかつて、金委員長と一緒にスイスに留学していた。そういうこともあってか、金委員長からの信頼が厚く、金委員長に異を唱えることができる数少ない人物という見方もある。

与正氏は、現在は、朝鮮労働党宣伝扇動部第一副部長という役職についているが、党のプロパガンダ、つまり、政治的な思想を宣伝する役割で、政策決定にもある程度関与しているとみられている。

金委員長と与正氏との関係は、映像からも読み取れる。8日の軍事パレードでは、演説する金委員長の後ろで、柱の陰に控えて、時折のぞき込む様子が映っていた。

与正氏が初めて国営テレビに登場したのは、2011年12月とされている。金正日総書記の葬儀の際、金委員長のすぐ後ろで涙を流す場面があった。しかし、この時はこの女性が誰かは伝えられなかった。

与正氏は、金委員長の視察にたびたび同行している。また、式典では金委員長が子どもから受け取った花束を与正氏に手渡す様子や、カメラマンと打ち合わせする姿など、金委員長をサポートをしている様子もよくみられる。

金委員長は、この与正氏を今回、親族として初めて公式に韓国を訪問させることにした。


■与正氏「開会式出席」の狙いは?

北朝鮮の狙いは何かというと、開会式にはアメリカからペンス副大統領、日本から安倍首相が出席する。もちろん、ホスト国である韓国の文在寅大統領もいる。ここに、北朝鮮は過去韓国に訪問したなかでは最高クラスの人物である金永南氏と、与正氏という2人の重要人物を送り込んだ。

南北融和を訴える文大統領にとっては、2人の出席は韓国国内向けにうれしいことで、北朝鮮はこうして文大統領の顔を立て韓国を引き寄せ、そうすることでアメリカと韓国を離れさせ、最終的には自分たちの有利な条件でアメリカを対話の場に引き出したい狙いがある。

オリンピックを舞台にした外交から目が離せない状態になっている。