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米・ウクライナに長距離ミサイル「容認」 戦況に変化は?【キキコミ】

2024年11月19日 9:56
米・ウクライナに長距離ミサイル「容認」 戦況に変化は?【キキコミ】
生活や仕事に関わるニュース。その現場で「今、起きていること」。当事者が抱える悩みや本音、キーパーソンが進める“新たな解決策”など。知ったら私たちも何か行動したくなる?ような……情報を櫻井翔キャスターが自ら「取材(聞き込み)」しつつ、お伝えします。(11月18日放送『news zero』より)

◇ ◇ ◇

(櫻井)
石破首相、今回の外遊ではトランプ次期大統領に会えないということですが、この情報を先週からキャッチしていたのが、本日、スタジオにお招きしたアメリカ政治に詳しい明海大学・小谷哲男教授です。

小谷さんは事前に情報をつかんでいたということですが?

(小谷教授)
はい。先週の時点でトランプ陣営の人から聞いていました。いまトランプ氏は数百万人の不法移民の国外退去を準備していますし、政府の大胆な改革をしています。なので、日本の首相であっても会っている余裕はないとのことでした。

(櫻井)
今夜、小谷さんにお聞きしたいのが「第三次世界大戦につながりかねない」とも言われていたこの問題です。

(櫻井)
アメリカのバイデン大統領は17日、ウクライナに対し、アメリカが供与した長距離ミサイルを使いロシア領内を攻撃することを許可したとアメリカメディアが報じました。使用が認められたのは最大射程約300キロの地対地ミサイル「ATACMS」。

ウクライナ側はこれまで使用を認めるよう繰り返し求めてきましたが、バイデン大統領自身が「第三次世界大戦につながりかねない」と使用を許可していませんでした。それが、自身の退任が迫るこのタイミングで方針転換した形です。

まず「ATACMS」の使用許可というニュース、率直な印象はいかがでしょうか?

(小谷教授)
遅すぎたと感じています。もっと早く許可していればウクライナは戦場でより優位な状況に立てたと思います。しかも今回、事前に許可する前に情報が出ているので、「ATACMS」で奇襲攻撃をすることはウクライナはできないと思います。

(櫻井)
アメリカメディアによると、ロシアと北朝鮮兵を相手に使われる見通しだということです。北朝鮮兵はそれだけ脅威だとアメリカが判断したということなんでしょうか?

(小谷教授)
いまロシアは兵力不足に悩んでいますけれども、それを北朝鮮兵が補っているという状況になっています。しかもその見返りに、ロシアから北朝鮮に原子力潜水艦の技術など供与されるということもありますので、アメリカとしてそれを止めたかったんだと思います。

(櫻井)
「ATACMS」という兵器ですが、どのような兵器なんでしょうか。ウクライナの戦況を変える可能性もある兵器なんでしょうか?

(小谷教授)
これはハイマース高機動ロケット砲システム、これから発射する短距離のミサイルです。弾道ミサイルですので非常に速度が速く目標を攻撃できますし、迎撃することも難しいです。さらにクラスター弾を搭載すれば広範囲も攻撃できますので、これをうまく使われればウクライナにとって効果的な兵器にもなると思います。

(櫻井)
バイデン大統領もこれまでは使用を認めていなかったわけで、ロシアの議員も使用を許可したことで紛争がエスカレートし、「第三次世界大戦につながる可能性がある」と警告しています。この先の展開はどう予想しますか?

(小谷教授)
事前にメディアを通じて「ATACMS」を使うことを許可することを発表しているので、ロシア側もこれに強く反発してさらなるエスカレーションを起こすことはないと思います。

またゼレンスキー大統領は、トマホークなどより長距離の巡航ミサイルの供与を求めていますが、バイデン大統領はこれを供与することは考えられませんので、第三次世界大戦につながるようなエスカレーションはおそらく起こらないと思います。

(櫻井)
続いて、やはり気になるのがこの方です。今回のバイデン政権の方針は、トランプさんが2か月後に就任するということと関係があるのでしょうか?

(小谷教授)
これは基本的には関係ないと思います。むしろ先ほど述べた通りロシアと北朝鮮、この協力関係を少しでも停滞させたいということが狙いだったんだと思います。

(藤井)
小谷さん、就任を迎える直前のトランプ氏ですけれども、トランプ氏が大統領に就任するとなりますと、ウクライナ侵攻というのはある「落とし所」を見つけることになるんでしょうか。

(小谷教授)
トランプ氏は、24時間でこの戦争を止めると言っていますけれども、いま具体的には武器供与、これ自体は止めないと言っています。しかしそれに条件を2つ付けると言っていて、1つが、ゼレンスキー大統領が武器支援の見返りにプーチン大統領との停戦交渉を受け入れること、もう1つがNATOの加盟ですね。これも棚上げすることと言っています。

これは武器支援の代わりに停戦交渉を受け入れろと迫ることで、ゼレンスキー大統領、いま領土を奪われていますが、この停戦交渉に乗ってくるだろうとトランプ氏は考えているわけですね。

またNATOへの加盟、これを棚上げすれば、これまさにロシアが望んでいることですから、プーチン大統領も停戦交渉に乗ってくるだろうと考えているので、このトランプ氏の考えがうまくいくのかどうかが注目されると思います。

(櫻井)
トランプ次期大統領が実際にどう動くのか。また、ウクライナが武器を使用した場合にロシアがどう反発するのかも見ていかないといけないですね。

小谷さんにお話伺いました。ありがとうございました。

(小谷教授)
ありがとうございました。

(11月18日放送『news zero』より)

最終更新日:2024年11月19日 9:56