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ロシア軍「最高司令官へのこだわり」で苦境に?……プーチン大統領の“頭の中”は――「派閥争い」「自己主張」で能力低下

2023年5月3日 10:37
ロシア軍「最高司令官へのこだわり」で苦境に?……プーチン大統領の“頭の中”は――「派閥争い」「自己主張」で能力低下

ウクライナに投入された戦車の対策で防衛ラインを築いたり、軍事パレードを一部中止したりと、ロシア軍に「守り」の動きがみられます。プーチン大統領が最高司令官であることにこだわった結果、現在の状況を招いたとの分析があります。長期戦は続くのでしょうか。

■ロシア軍で目立つ「守り」の動き

有働由美子キャスター
「ロシア軍がいっそうガタガタになっている印象です」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「今や、ロシアが守りに入っているという動きが目立っています。ウクライナに高性能な戦車が続々投入され始めると、ロシアは戦車が突破してこないよう、実効支配する地域の外側に長さ120キロの防衛ラインを作りました」

「ロシア軍の燃料タンクで爆発火災がありました。ウクライナのドローン攻撃との見方もあります。そのようなドローン攻撃を恐れ、ロシア各地で行う9日の戦勝記念日パレードを一部地域で中止する動きも出てきました」

■行き詰まりの原因はプーチン氏に?

有働キャスター
「ロシア側はいつから行き詰まってきたのでしょうか?」

小野委員
「最初からこうなる運命にあったという見方があります。アメリカの政策研究機関『戦争研究所』の分析によると事の始まりは、プーチン大統領が自分が最高司令官であることにこだわったこと。勝利した際に自分の功績にして求心力を絶対的なものにしたいからです」

「そのために自分以外に目立つような総司令官を置かず、置いてもコロコロと交代させました。そのため軍内部で派閥争いが激しくなり、ワグネルのような民間軍事会社も多く出てきて自己主張するようになりました」

「派閥争いと自己主張が起きた結果、指揮系統が乱れ、ウクライナでまとまった作戦を行う能力がすっかり低下しました。そのためガタガタな状況は、当然の成り行きだといいます」

有働キャスター
「その分析通りだとすると、プーチン大統領は自ら首を絞めるようなことになっているのでは?」

小野委員
「確かに。今は、絶対に忠誠を尽くすゲラシモフ参謀総長が総司令官をしていますが、指揮系統はガタガタのままで、長期戦になるのではないかとみられています」

■長期化狙いか…落合陽一さんに聞く

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「そうは言っても資源が無限近くあるロシアなので、長期化して不利なのは、やはりウクライナの側だと思います」

「例えばウクライナの停戦の条件は、ドンバス(地方)を含めたかつての領土を全て取り戻すことだと言っています。つまり、ロシア側が現状の勢力図のままで戦争をやめますと言ったところで納得しないと思います」

「そうなるとロシアとしては長期化させて兵糧攻めにするのがおそらく一番効果的なので、残念ながらプーチン(大統領)はウクライナが諦めるまでやり続けるというのが現状なのではと思います」

有働キャスター
「広島でのG7サミットが19日に迫っています。それより前に、ウクライナの反転攻勢が始まるかもしれません。そんな緊迫した状況で、日本が議論のリーダーとして何をまとめ上げるのか。ここ数週間の動きに注目していこうと思います」


(5月2日『news zero』より)

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