パキスタン大統領 単独インタビュー全文4
■Q:日本とパキスタンの今後の協力について詳しく。AI分野に可能性があると?
「昔に比べると、世の中の変化は早く、新しい商品やソフトが出るスピードは、「毎年」から「毎週」のようになっている。第4次産業革命の潮流の中でわたしたちは、大量のカメラやデータ、取引に囲まれている。世界は狭くなってきているが、このデータを整理する機能がまだない。テータと情報は、以前より大量にあるが、整理する機能が少ないのだ。そこに、AI(=人工知能)が活躍する余地がある。
パキスタンは、人口の半分以上が30歳以下である。これから活躍が期待できる人たちだ。一方で、日本の平均年齢は、はるかに高い。パキスタンの若者をIT技術者として養成すればパキスタンを豊かにできる。こうした人材が、ソフトウエア開発やAIを手がける日本企業に携われればと思う。
私は、「勢いよく走る電車に、飛び乗れ」と、パキスタンの若者に言っている。今後、医療や材料、人々に直接関係する科学、金融技術、デジタル決済などの分野に著しい変化が起き、世界の貧困緩和に繋がるだろう。
私が立ち上げた「大統領 人工知能(専門家)養成制度」をはじめ、パキスタンでは様々な実習制度を設けている。1~2年で10万人のAI専門家を育てる目標がある。(育成された人材は)パキスタンにいながら、日本のソフトウエア開発や人工知能開発、ブロックチェーン技術開発などに携わることもできる。
また、日本の在留資格が改善され(特定技能がある)パキスタン人が日本に働きに来るのも可能である。そして、パキスタンと日本の間に技能実習制度も導入された。在パキスタン日本大使と最近、会った際には、パキスタンのIT人材をどのように日本企業や政府がいかせるかと相談された。
日本の投資先はパキスタンにいくらでもある。世界5位の人口を持つパキスタンは、巨大市場だ。自動車業界など様々な業界では、以前から日本企業がパキスタンに進出している。観光などでも、日本人訪問客を受け入れる機会を増やせればと思う。日本人は、世界中を旅している。パキスタンは、見逃せない美しい国だ」
■Q:アフガン和平におけるパキスタンの役割について
「パキスタンの役割は重要だ。アフガニスタンだけでなく、サウジアラビアとイランの間の緊張緩和においても重要な役割を担っている。これは、トランプ大統領も望んでいる形で、カーン首相は、イランとサウジアラビアを訪問した。
パキスタンは、中東でとても重要な役割を担っていて、その役割は進化している。パキスタンはテロの撲滅に成功した証しだ。テロ撲滅に成功した唯一の国だ。中東では、様々な問題が起きているが、パキスタンは国内のテロを撲滅した。そのため、世界はパキスタンの重要性を感じている。
アフガニスタンの平和は中東全体にとって良いことだ。私とカーン首相の政党は、戦争による解決法はないと思っている。カシミール問題に関しても同じ考えだ。戦争から生まれる解決法はない。交渉が必要だ。
また、アメリカ軍の撤収などアメリカの関与をなくしていくことが必要だ。しかし、交渉自体は、アフガニスタン主導で行われなければならない。私たちは、あくまでも仲介者として交渉を促し、安全かつ平和な(米軍の)撤収を見守ることしかできない。
また、アフガニスタンがテロ支援国にならないことを国際社会に保障することはできる。しかし、(アフガン和平問題に)インドも関わりたいと言ってきた。これは、良くないことだ。パキスタンと国境を接する国の問題であるため、インドが入る余地は、ない。インド海軍のスパイがパキスタンのバルチスタンに侵入するという事件もあった。パキスタンは、平和のために活動しているのに、東側の国境でインドとのカシミール問題を抱えている。良くないことだ。国境全体における平和を望んでいる。
アフガニスタンが平和になり、復興すれば、日本やパキスタン、中国などもさらに進出できるようになると思う。中国はパキスタンのパートナーであり、隣国だ。CPEC(中国・パキスタン経済回廊)を通じてパキスタンの発展に関わっている。これが、日本がパキスタンに投資をする機会に繋がっている。アフガニスタンが平和になることを楽しみにしている。平和は、パキスタンの情勢を改善させる。そして、アフガニスタンの発展には、パキスタンの役割が重要だ」