最新技術の見本市 注目は「次世代の車」
自動運転や空飛ぶ車など次世代の車が話題となっているが、いま自動車業界以外の企業も開発に乗り出している。車をめぐる最先端の技術を取材した。
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今月、アメリカ・ラスベガスで開かれた最新の技術を紹介するイベント「CES」。4500以上の企業が参加し、AI(=人工知能)を使ったロボットなどを展示した。この巨大イベントで、今年注目されたのは、次世代の車だ。
ドイツの企業『バートランド』が開発したのは、自動運転で走る電気自動車。形がとてもユニークで、ハンドルやシートなどはユーザーの希望にあわせてアレンジできるという。顧客の要望に応じて、さまざまな用途に使える形を提案した。
バートランドの技術幹部「自分でカスタマイズができる。人を乗せてもいいし、郵便配達車でもいい。自分の好きなようにできる」
一方、安全のための新しい発想も。
新しいサンバイザーの技術で、顔認識の技術によって私の目の周りにだけ影をつくる。サンバイザーの位置にあるのは、向こう側が透けて見える液晶パネル。太陽の光が目に入る部分を計算して暗くし、影をつくる。従来のサンバイザーに比べ、視界をさえぎる範囲を小さくすることで、事故を減らそうとしているのだ。
そして、会場を大きく沸かせたのは─。
ソニーが、業界の枠を超え電気自動車の試作車を発表。さまざまな企業と協力して完成させた。
ソニー・吉田憲一郎社長「自動車の進化によって、車は新しいエンターテインメント空間として再定義されるはずだ」
ソニーが力を入れたのは、車内。中に入ってみると、運転席と助手席の前はディスプレーで埋め尽くされていた。これらを使って、例えば、真ん中にあるカーナビの画面を助手席側に瞬時に移動させて検索してもらうこともできる。
さらに─。
ソニー・纐纈潤さん「今回、前方座席のシートの中にスピーカーが埋め込まれていまして」
シートと前方のスピーカーを組み合わせ、360度、音楽を楽しめる空間をつくったという。
ソニー・纐纈潤さん「(自動運転で)どんどんユーザーが運転にとらわれなくてもいい状況というのがこれから来るわけですから、楽しみ方をどんどんと増やしていくのがいいのではないかと」
多くのセンサーを取り付け、高度な自動運転を目指しているこの車。2020年度中に公道での走行実験を行うとしている。
では、なぜ、ソニーのような企業が自動運転を見据えた事業を本格化させたのか。
ITジャーナリスト・石川温さん「スマートフォンの成長が伸び悩んでいるところもあるので、スマートフォンの技術であるチップセットや、カメラモジュールを、今度は車に転用する。新しいジャンルとして車が注目されているのだと思う」
一方、自動車業界から新たな構想を打ち出したのは、トヨタ自動車。静岡県に自動運転などの実証実験を行う都市をつくり、開発を加速させるという。
次世代が、次世代ではなくなる日が近づいているようだ。