北朝鮮が“怪物”ICBM「火星17」“発射映像”を公開 専門家「パワーが2倍」と分析
北朝鮮の国営テレビが25日、新型ICBM(=大陸間弾道ミサイル)の「火星17」の発射とみられる映像を公開しました。専門家は、5年前に発射されたICBMと比較し、「『火星15』はロケットエンジン2本を束にしたものだったが、今回の『火星17』は4本束。パワーが2倍ある」と分析します。
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北朝鮮の国営テレビ「朝鮮中央テレビ」が日本時間25日午後3時過ぎに公開した映像には、サングラス姿の金正恩総書記らと、その後ろの北朝鮮が発射した新型ICBM「火星17」の姿が映っていました。
金総書記がサングラスを外したのを合図に、平壌(ピョンヤン)の国際空港をミサイルが移動していきました。そして、職員の「発射!」の号令のあと、ミサイルがごう音とともに、ほぼ垂直に発射されました。
ほかにも、ミサイルに設置されたとみられるカメラの映像や、満足したのか、笑顔の金総書記の姿もありました。ミサイルは「約68分間飛行し、日本海上の予定した水域に正確に着弾した」と主張しています。
金総書記
「誰であれ、我が国家の安全を侵害しようとするなら、必ず代償を支払うことになる」
韓国では「怪物ICBM」とも呼ばれてきたこのミサイルについて、映像からわかってきたことがありました。
軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏
「この下にロケットの噴射が見えるんですけども、(2017年に発射された)『火星15』はロケットエンジンを2本、束にしたものだったが、今回の『火星17』は4本束にしていますからパワーが2倍ある。強力であればスピードが出る。途中で弾頭は分離するが、それまでにスピードが出ていれば、それだけ遠くに飛べる」
射程が長くなったことも今回のミサイルの特徴だといいます。5年前に発射された「火星15」の場合、射程は「1万キロ以上」。イギリスのロンドンやアメリカ西海岸のロサンゼルスを射程に含みます。
それが今回の「火星17」の場合、飛距離はさらに長く、防衛省によると、角度をつけずに通常の軌道で発射された場合、「1万5000キロを超える」といいます。東海岸のニューヨークやワシントンを含む「アメリカ全土」が射程に含まれるというのです。
また、韓国メディアによると、今回のミサイルは「いくつかの弾頭を同時に載せられる」との分析もあります。
軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏
「宇宙空間に出れば、これがパカッと割れて、中に例えば3つの弾頭が入っている。複数の場所を同時に攻撃できますので、攻撃される場所が増えるということと、標的が増えればそれだけ被害を受ける場所が増えると」
そして黒井氏は、「北朝鮮というのはどんどん新しい武器を作る。作ったものに関しては、実験を粛々としていく」と語りました。
(3月25日放送『news zero』より)