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壊されゆく子どもたち -ウクライナ 戦場からの報告-

2022年6月10日 12:27
壊されゆく子どもたち -ウクライナ 戦場からの報告-
頭上を飛行するロシア軍のヘリ、鳴りやまない爆撃音…消えることのないあの日の恐怖は、ウクライナから逃れた9歳の少年と5歳の少女の兄妹を苦しめ続けています。NNNの記者とカメラが見た戦地からの報告です。

*フルバージョンは6月12日(日)24:55~日本テレビ系列「NNNドキュメント’22」で放送



戦争のせいで壊されゆく、ウクライナの子どもたち。

「泣かないで。避難生活にも少しずつ慣れるよ」

国外避難した人は、700万人を超えました。その半数は子ども。

私たちがポーランドの避難所で出会った兄妹。ヴィカちゃん(5)とアルテム君(9)。体調を崩し、寝込む日が増えていました。

「お薬を飲んでね。ちゃんと両手で持って」

避難所ではウイルス性の胃腸炎がまん延。そして、心も戦火の記憶にむしばまれていました。

ヴィカちゃん
「爆撃の音が怖くて、持っていたお皿を落としちゃった」

軍事侵攻が始まった2月24日に撮影された映像。ロシア軍のものとみられるヘリコプターが低空飛行しています。

母・タティアナさん(41)
「ロシア軍が来て夫に何かあっても、もう戻ることはできない」

「子どもたちを守ってほしい」という夫の言葉で避難を決めました。

祖国で戦う父親との電話。

アルテム君
「パパ、僕たちは元気にやってるよ」

父・ユーリさん
「パパも元気だよ」

大好きな父親の声。お互いの無事を確かめ合う大切な時間。

ウクライナで武器の輸送を担当している父親のユーリさん(41)。いつ命を落とすかわからない危険な仕事です。

父・ユーリさん
「毎回最後になるかもしれないと思って家族と話している。明日どうなるかわかりません」

家族4人、また暮らせる日がきっとくる。戦闘が続くウクライナで、私たちに語ってくれました。

アルテム君
「もう疲れたよ。疲れたよ」

避難した3人は、ポーランドからさらに遠いドイツへ。1か月半ぶりの再会。避難所にいた時よりも、笑顔が増えていました。それでもベッドに入るとよみがえる、あの日の光景。

アルテム君
「ドイツが占領され多くの人が死ぬ夢を見た」

避難するたび、ロシア軍の爆撃にあう夢。9歳の心は深い傷を負っていました。心の支え、それは、ウクライナに1人残る父親の存在。

ヴィカちゃん
「パパ! 戦争が終わったらここに来るの?」

父・ユーリさん
「うん、戦争が終わった時にね」

母・タティアナさん
「私たちがお父さんのところに戻るのよ」

戦争の最大の犠牲者、それはいつの時代も子どもたち。願いは1つです。

アルテム君
「ロシアとウクライナが仲直りしているところを描きました。 ウクライナはきっと大丈夫」


NNNドキュメント2022年6月12日放送予定『壊されていく子どもたち ーウクライナ 戦場からの報告-』(日本テレビ制作)を再編集しました。