スズキ 酸素不足で生産一時停止へ インド
インドで医療用の酸素が不足し、工業用の酸素を回す措置がとられ、自動車メーカーのスズキは、インドでの生産の一時停止を決めました。海外でのコロナをめぐる最新の動きです。
◇インド
28日、インドの首都ニューデリーでは、まきの山が組まれ、いくつもの火葬が同時に行われていました。
インドでは29日、新たに37万9257人の新規感染者を確認。1日あたりの死者は3645人となり、いずれも過去最多を更新しました。(新規感染者数 37万9257人 新規死者数 3645人)
現地に住む日本人からは不安の声が聞こえました。
ニューデリー近郊に住むサフエル・ブランドン仁さん
「1週間半くらい前から1歩も外に出ていない状況。重症者の家族や友人がベッドの取り合いしている状況。仮に自分が感染して、もし重症化した場合、満足な治療を受けられる保証が全くない。今感染すると非常にまずい状況なので、家にこもりきりの状態」
これまでの死者数の合計は20万人を超え、医療崩壊が起きているインド。(感染者 1837万6524人 死者 20万4832人 インド保健当局 29日)
日本に帰国するためには出国前72時間以内の検査証明が必要ですが、インドでは現在、PCR検査を受けるのも困難な状況だといいます。
ニューデリー近郊に住むサフエル・ブランドン仁さん
「恐怖心でいっぱいの状態。日本に一刻も早く帰って、家族を安心させたいという気持ち」
現地の日本大使館によりますと、日本人の感染者も急激に増加しているということで、感染予防の徹底を呼びかけています。
◇
こうした中、自動車メーカーのスズキは、5月1日から9日までの間、インドにある三つの自動車工場すべてで、生産を一時停止することを決めました。
インドでは医療用の酸素が大幅に不足。そのため、工業用の酸素を医療用に回す措置がとられていて、自動車部品の供給が滞るのではないかと懸念されていました。スズキは、6月に予定していた設備のメンテナンスを前倒しする形で生産を止めることとしていて、年間での生産量には影響はないとしています。
◇タイ
これまでに6万3000人以上が感染したタイ。(感染者 6万3570人 死者188人 タイ保健省 29日)
28日、空港ではカウンターに長い列ができていました。人々の目的は航空チケットではなく、ワクチン接種です。
タイ、バンコク近郊にある空港は、利用者が減り、使われなくなったターミナルの一部をワクチン接種センターに改造しました。
航空会社スタッフ
「空港には十分なスペースがあり、ソーシャルディスタンスも保(たも)てているのでいいアイデアだと思います」
ロイター通信によると、接種の対象は空港スタッフや航空会社の関係者などで、1日1000回ほどの接種を行っています。今後は、一般の人にも対象を広げる方針で、施設を準備中だということです。
タイでは、3月下旬にナイトクラブでクラスターが発生したのをきっかけに新型ウイルスの感染者が急増していて、政府は病床の確保とワクチンの普及を急ぐ考えを示しています。