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米軍“アフガン撤退”完了 退避希望者は…

2021年8月31日 19:29

アメリカ軍がアフガニスタンからの撤退を完了し、20年間のアフガン戦争が終結したことになります。退避を希望する日本の関係機関勤務のアフガン人の男性が取材に応じ、「わたしたちを助けてくれると信じている」と語りました。

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31日未明、アフガニスタンの首都、カブール。

花火が打ち上げられ、空には銃が乱射されています。アメリカ軍の撤退を祝うものだといいます。市内には歓迎する人たちが繰り出しました。

そして、アメリカ軍が管理していたカブールの空港には、アフガンの実権を掌握したイスラム主義勢力、タリバンとされる一団がいました。

タリバンメンバーとされる人物
「空港に入ったぞ。何も問題は無い。神に感謝する」

その少し前、闇の中で飛び立つ軍用機の姿がありました。

アメリカ中央軍 マッケンジー司令官
「アフガンからの撤退完了を発表する」

軍が公開した1枚の写真。撤退する「最後の兵士」が、米軍機に乗り込む場面だといいます。

アメリカ軍が20年に及ぶ駐留を終え、最後の部隊が撤退したのです。

一方、タリバンは…

タリバン スハイル・シャヒーン報道官
「我が国は完全な独立を勝ち取った」

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20年前、ニューヨークなどをおそったアメリカ同時多発テロをきっかけにアフガン攻撃に踏みきり、「史上最長の戦争」ともよばれる軍事作戦を続けてきたアメリカ。

タリバンが実権を掌握した8月中旬以降、極度に混乱した中で、撤退作業を続けてきました。

撤退後も現地に残る100人から200人のアメリカ人や、アフガン人の退避の支援を続けるとしています。

日本も、現地の大使館などに勤めていたアフガン人およそ500人を自衛隊機を使って退避させる予定でしたが、移動の安全が確保できず、実現しませんでした。

その1人が30日、インタビューに応じました。

退避待つ男性
「(米軍撤退で)退避は厳しさを増してくると思います。カブール空港からの退避は不可能になると思います。『イスラム国』の脅威も加わります」

男性は先週、ほかの希望者とともに自衛隊機が待つ空港にバスで向かいましたが、到着の直前、空港のゲートで自爆テロが発生し、バスは引き返さざるを得なかったといいます。

退避待つ男性
「(日本人は)約束されたことに忠実です。わたしたちを助けてくれると信じています」

こうした中、岸防衛相は31日、自衛隊機の撤退を命じました。

関係者によりますと、今後は民間機のチャーターや陸路での退避を検討しているということです。

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一夜明けた31日、カブールの空港ではタリバンのメンバーや戦闘員が1列に並んで空港の完全掌握をアピール。空港の入り口でも検問を行っていました。

タリバンは今後1週間から2週間で新内閣を明らかにするとしていますが、女性や人権の問題のほか、治安面など、課題は山積しています。

アフガンを担当・NNNバンコク 杉道生支局長
「現地には依然として出国を希望する大勢の人たちが取り残されています。『イスラム国』の地域組織の活動も活発になる中、いかに安全を確保して退避支援を継続できるかは大きな課題です。また、国際社会は近くタリバンが発表する新政権を承認するかどうか、日本を含め対応を問われることになります」

20年間駐留したアメリカ軍が去ったアフガニスタン。混乱が続く中、新たな国づくりはできるのでしょうか。