北朝鮮「列車」ミサイルに“2つの脅威”
朝鮮中央テレビが16日夜、ミサイル発射訓練の映像を公開しました。打ち上げられたのは、トンネルから出てきた列車から。従来のミサイルと違って軌道は変則的でした。専門家によると、今後は迎撃が困難になりそうです。北朝鮮の意図は――。
■映像公開「列車から」ミサイル
日本時間16日午後8時ごろ、朝鮮中央テレビが映像を公開しました。トンネルから出てきた列車が停車すると、天井部分が開きました。15日に発射されたとみられる弾道ミサイルが、中から姿を現しました。
そして垂直に立てられ、発射。その様子が、さまざまな角度から撮影されています。2発目の映像もありました。北朝鮮は「鉄道機動ミサイルシステム」の発射訓練だとしています。
岩本乃蒼アナウンサー
「この発射方法は初めて見ました」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「列車からというのは、発想自体は前からあるものですが、2つの意味で迎撃が難しくなり、脅威が増したと言えそうです」
■トンネルで…「衛星」覚知困難に
小栗委員
「1つ目は隠し場所です。映像で注目したいのは、列車がトンネルから出てきたところです。
海上自衛隊元海将の金沢工業大学大学院・伊藤俊幸教授によると、このトンネルにミサイルを隠すことで、衛星から覚知しづらくなります」
「北朝鮮ではこれまで、トラックをベースにした移動式発射台を使う方法もありました。ただ伊藤教授によると、今回の『鉄道機動ミサイルシステム』はトラック式よりもメリットがあります」
「大きくて重い物を大量に運べ、発達した鉄道網によりトンネルなどの隠し場所が増えるというものです。これまで以上に、『どこから』『どれだけ』打ってくるかが分かりづらくなるといいます」
■予測困難…「軌道」従来より変則的に
岩本アナウンサー
「もう1つの脅威は何でしょうか?」
小栗
「2つ目は、予測困難な軌道です。伊藤教授によると、通常の弾道ミサイルが描くのは放物線です。ただ今回のミサイルは、いったん下降した後、落下しそうになった直前に再び上昇。変則的な軌道だったとみられます」
「伊藤教授は『鉄道で隠し場所が増えたことや、ミサイルの軌道が直前で変わることで、今後は迎撃するのがより困難になる』と話します」
■気になる北朝鮮の「謎の沈黙」
岩本
「9月に入って、北朝鮮の動きが活発化しています」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「自民党の総裁選も行われますので、北朝鮮への対応もしっかり考えてほしいと思いました。すぐ日本に打ってくるというよりは、韓国やアメリカなどへのけん制の意味が大きいのかなと思いますが、今後の対応を北朝鮮と話し合うことはできないものでしょうか」
小栗
「日米両政府の北朝鮮担当者らが気にしているのは、北朝鮮の謎の沈黙です。北朝鮮国内は新型コロナウイルスや災害などで厳しい状態にあり、本来なら経済制裁を解除してほしいはずです」
「それなのに、対話に応じるめども、その兆候もありません。北朝鮮が何を考えているのかについて、官邸関係者は『この先ミサイルを連続して発射している場合じゃないと思うが、分からない』と話していました」
(9月16日『news zero』より)