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五輪迫り感染拡大 中国各地で“封鎖措置”

2021年11月5日 20:36

北京オリンピックの開催が近づき、今、中国当局が感染拡大に神経をとがらせています。感染者の急増に伴い、各地で住民の出入りを厳しく制限する封鎖措置がとられています。

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9万7000人以上が新型コロナウイルスに感染した中国。(感染者 9万7605人 死者 4636人 中国・衛生当局 5日時点)

10月中旬ごろから再び感染が拡大し、当局が警戒を強めていますが、その背景にあるのが、3か月後に迫った北京オリンピックです。

記者(中国・北京 4日)
「ここに見える鉄骨は、元々、ベルトコンベヤーだったということです。北京にあった最大の製鉄所の跡地に、北京オリンピックの組織委員会が置かれています」

北京オリンピックの組織委員会が、そのオフィスを一部メディアに公開しました。製鉄所の跡地を利用し、「環境への配慮」を強調しています。

北京五輪組織委の関係者
「製鉄所の再利用は、北京だけではなく、全国で見ても非常に成功した例なのです」

「グリーン・オリンピック」を掲げ、取り組みをアピールする組織委員会ですが、そのすぐ隣では…

記者
「あちらがオリンピックの本番で使われるジャンプ台ですが、きょうは空気汚染のせいで見通しが悪い状態です」

空気が澄んだ日にはジャンプ台がきれいに見えるはずですが、4日は景色がかすんで見える状態でした。空気の質を調べるアプリでは『不健康』の文字が表示されました。

そして、オリンピックに向けて、大気汚染問題以上に当局が神経をとがらせているのが、新型コロナの感染拡大です。全国で感染者が急増していて、住民の出入りを制限する「封鎖措置」が複数の都市で取られています。

こうした中、混乱も起きています。今月2日、江蘇省のスーパーでは、多くの人が詰めかけ、食料品の“買い占め騒動”が起きていました。実はこの前日、中国政府が突然、「緊急事態に備えて、食料を備蓄するよう」通達を出したのです。

“緊急事態”が何を指すのか不明だったことも混乱に拍車をかけ、台湾との戦争に向けた準備だとの臆測も呼びました。

政府系メディアが「新型コロナ対策で、急に都市封鎖が発生した場合を想定したものだ」と、説明する事態となりました。