屋台、喫煙、ノーヘル…タイの当たり前に多くの“違法”!?
どんなときも「マイペンライ(大丈夫)」。温暖な気候と人々のおおらかさで知られるタイ。その日常には、実は多くの“違法”が! タイを代表する食文化も、日常の光景も…。政府の対応は?
■本当はダメ!?~日常編~
【1】屋台
タイの名物「屋台」。ガパオライスやパッタイ、タイティーを販売するカフェもあり、低所得者層も手軽に購入できるような価格設定になっている。店によっては、簡易的な椅子とテーブルで食事ができるところもある。――タイの文化とも言える光景だが、実は違法。路上での商売は禁止されていて、最大2000バーツ(日本円約1万円)の罰金が科される。
年に数回、警察が屋台を一掃しようと取り締まりを行うが、1週間後には、また同じ場所に屋台が出るというように、まさに“いたちごっこ”が繰り広げられている。違法であるにもかかわらず、タイ政府は屋台を“国の重要なソフト”として推しだすというチグハグな施策を講じている。
【2】大麻
タイ・バンコクを歩くと、街中には多くの大麻ショップが見つけられる。夜になると独特のにおいが漂う路地も。現在、タイ国内には20万店以上の大麻を扱う店があるとされている。
タイでは大麻が“合法”だと思っている人は多く、大麻を目的にタイを訪れる観光客も多い。しかし、医療目的や研究目的での使用が2022年に解禁されたものの、嗜好品として吸う大麻は違法だ。街中での大麻使用は最大で1年の懲役、10万バーツの罰金が科される。
タイ政府は犯罪増加などを理由に、2024年から大麻の再規制に向けた法整備を進めている。しかし、大麻利用がすでに広がりすぎたため、再規制した場合、農場や販売店がなくなることなどから雇用が失われ、経済が後退することなどを恐れて、慎重になっている。
【3】電子たばこ
電子たばこの使用も、実は違法。街では、VAPEといわれる水蒸気タイプの電子たばこや、日本でも主流になりつつある加熱式たばこをよく見かけるが、これらは所持だけで最高5年の懲役だ。
しかし実態は、夜になると路上で売られ、場所によっては白昼堂々と売られている。取り締まる側の警察官が、蒸気を吹き出す様子もよく見る光景だ。
タイ政府は、未成年が電子たばこに手を出さないようにするため、広告を出すなどの対策を講じているが、本腰を入れた取り締まりは行われていない。
【4】ニセモノ
バンコクにある、日本人観光客も多く訪れるショッピングモール。見てみると、売られているものの9割が「ニセモノ」。日本人と分かると「本物、同じだ」と日本語で声をかけられる。
店の奥の「秘密の部屋」には、所狭しと高級ブランドのロゴが付いたバッグや財布などが並ぶ。路上でも「ニセモノ」は売られていて、タイは“ニセモノ天国”と呼ばれることも。
ニセモノの販売は、最大で懲役2年、日本円で約180万円の罰金。警察による摘発は定期的に行われているが、「見て見ぬフリ」が横行している。
■本当はダメ!?~交通編~
【5】定員オーバー
バイクに乗れる人数は2人が最大――日本では、当たり前のように感じるが、タイでは3人乗り、4人乗りもよく見かける光景。これは違法だ。トラックの荷台にも…多数の人が。そのまま高速道路だって走る。低賃金で働く作業員の貴重な足となっているが、これもまた違法。
いずれも2000バーツ(日本円約1万円)以下の罰金が科される。
【6】ノーヘルメット
タイで人気の交通手段は「バイクタクシー」。バンコク中心部は大渋滞となることが多いが、その中をぬうように走るバイクタクシーは貴重だ。
しかし、乗る人のほとんどは…ヘルメットをかぶっていない。タイの日常とも言える光景だが、ヘルメットなしは違法だ。
タイでは2023年の1年間で82万件以上の交通事故が起き、約1万4000人が死亡、80万人以上がケガをしている。このうちバイクでの事故が約80%を占めているという(タイの交通事故情報センター 2023年現在)。タイ政府はヘルメット着用を呼びかけているが、国民に定着していないのが実情だ。
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タイの日常にある、現実と法律の間の大きなギャップ。タイ政府が今後、どうこのギャップを埋めるのか、その手腕が問われる。