中国で“車暴走”死者35人…拘束の男、離婚後の財産分与に不満か 現場では報道規制、献花も撤去
中国・広東省で車が暴走した事件で、地元警察は35人が死亡したと明らかにしました。運転していた62歳の男は、離婚後の財産分与に不満を抱き、犯行に及んだとみられています。
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この事件では43人がケガ、死者は、35人にものぼりました。多くの人が祈りをささげています。
「びっくりして、受け入れられなかった。亡くなった人に知り合いはいないけど、自分の家族が亡くなったような気持ち」
「まさかこんなに人が亡くなるなんて。心が張り裂けそうだった。本当にショック」
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事件があったのは、11日夜のこと。中国SNSに投稿された映像に映るのは…
「やばい!」
「人をひき殺してる」
逃げ惑う人々の方へ突っ込む“暴走車”。スポーツ施設でジョギングなどをしていた市民らを次々とはね…
「なんてこと…」
「助けて!こっち!早く!」
「たくさん亡くなっている。国が揺らいでしまう」
当時、現場でジョギングをしていた人は…
現場にいた人
「本当にわけがわからなかった。(車は)スピードが速くて、一瞬で人々がなぎ倒された。70~80キロは出ていたと思う」
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事件直後、警察によって包囲された“暴走車”。
「(運転手が)まだ車の中にいる。刃物を持っている」
運転していたのは62歳の男です。確保の際、自分の首を刃物で切りつけるなどして、意識不明の重体。現在治療中で、取り調べはできない状態だといいますが、地元警察は男の動機について…
地元警察
「(男が)離婚後の財産分与について不満を抱いたことが原因だと判断した」
離婚を巡るトラブルがあったとみています。多くの命が奪われた、無差別とも思える暴走。
社会へ不安が広がることを警戒しているためか、現場では今、中国当局による報道規制が行われています。
渡辺容代記者・NNN珠海(13日)
「スポーツ施設の入り口には、警備もたくさんいますね。門も閉じられています」
すると…
警察官
「早く、早く」
渡辺記者
「追い払われましたね、私たち」
車を降りて、取材を始めると…
「ここ撮影NGです」
渡辺記者
「地元の当局でしょうか。今、制止にあっています」
現れたのは、“地元の政府関係者”と名乗る人たち。私たちが撮影していた場所は、通常、撮影許可はいらないはずですが…
「撮らないで、お願いだから」
渡辺記者
「傘でおおって、撮らせないようにしているのでしょうか。そんなに雨は降っていないですけど…」
「もういいでしょう。帰って、帰って」
渡辺記者
「なんでダメなんですか?」
「ここで作業していて、必要であれば、市の広報に連絡してください。作業の邪魔をしないでください」
渡辺記者
「作業って?」
「内部の作業で、詳細は控えます」
ダメな理由は、“作業”の一点張り。現場を見ていると、その作業でしょうか…?
渡辺記者
「市民が供えた花束、どこかへ持っていかれている。撤去されていきます」
13日、手向けられた多くの花束が、完全に撤去されています。悲しむ人たちの思いは─。
日本時間13日午後4時頃、中国政府は事件について、こう述べました。
中国政府
「すでに作業グループを派遣し、現地での対応を指導している。負傷者の治療・事件の捜査、社会面の予防コントロールなどの業務に全力を尽くしている」
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ここ数か月、無差別とみられる事件が相次いでいる中国。政府は、「いかなる違法な暴力行為も絶対に容認せず、あらゆる外国人の安全を保障する」としています。