北朝鮮「エンジンに異常があり墜落した」“弾道ミサイル”失敗認めるも早期の2回目発射を強調
31日朝、北朝鮮が「衛星打ち上げ」と称し事実上の弾道ミサイルを発射しましたが、失敗し韓国沖に落下しました。北朝鮮側は“失敗”を認めた上で、の原因を解明し早いうちに2回目の発射を行うと強調しています。2回目の発射の可能性などについて、ロケット技術に詳しい専門家に聞きました。
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発射予告、初日の31日朝、沖縄の街にサイレンが響き渡りました。
アナウンス(沖縄・南城市、31日午前6時半ごろ)
「ミサイルが発射されたものとみられます」
韓国・ソウルでも午前6時半すぎ、“警報”が鳴っていました。
北朝鮮は、31日から来月11日までの間に「人工衛星の打ち上げ」と称し、事実上の弾道ミサイル発射を予告していました。「黄海、東シナ海、フィリピン・ルソン島の東方向に打ち上げる」と連絡してきていましたが、韓国軍によると31日朝、北朝鮮の東倉里から発射されたミサイルは、韓国の於青島(オチョントウ)の沖合、200キロの海上に落下したということです。
韓国軍は、落下したミサイルの一部とみられる物体を発見しました。その写真を見たロケット技術に詳しい専門家は、次のように指摘しています。
未来工学研究所 西山淳一研究参与
「中に丸く球形のものが見えますが、あれは燃料タンクか酸化剤のタンクの外側であろうと」
今回のミサイルは、液体燃料を使った可能性が高いといいます。
未来工学研究所 西山淳一研究参与
「固体燃料は(タンクの)筒が非常に丈夫でないとダメ。見た感じ、もっとごつい」
北朝鮮メディアは「エンジンに異常があり、推進力を失って墜落した」と報じました。“打ち上げは失敗した”と認め、その原因は「新型エンジンの信頼性と安定性の欠如、そして燃料の不安定な特性」と発表しました。
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発射直後、北朝鮮の街を国境付近の中国・丹東から取材しました。
記者
「労働者かな、自転車の列ですね」
「鉄棒で遊んでいる人もいますね」
特段、緊迫した雰囲気は見られない中、石けんの材料などが積み込まれた貨物列車が、中国から北朝鮮へ入る様子が見られました。
経済の危機も伝えられる中、軍備拡大に突き進んでいる北朝鮮は、“失敗の原因を解明した上で、早いうちに2回目の発射を行う”と強調しています。
2012年に失敗した際は、約8か月後に2回目を発射していましたが、今回はどうなるのか。専門家は“断定はできない”とした上で、次のように指摘しました。
未来工学研究所 西山淳一研究参与
「いろんな経験からすると、早くて何週間。普通は何か月という単位で、もっとひどい場合は何年と。地上でロケットエンジンの燃焼実験をもう1回やらないとダメなのでは」
政府は、韓国、アメリカと連携して情報収集に全力をあげるとともに、次の発射にむけた警戒態勢を続けるとしています。