トランプ前大統領“3回目”の起訴 「バイデン政権の選挙妨害」と反発も…
機密文書を持ち出した問題や、ポルノ女優に不倫の口止め料を支払ったとされる疑惑などで起訴されているトランプ前大統領。「選挙で不正があった」などと主張し、選挙結果を確定する手続きを故意に妨げた罪などで、3度目の起訴となりました。これに対してトランプ氏は、バイデン大統領の選挙妨害だと反発しています。
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記者(米・ワシントン、8月1日)
「トランプ氏、実に3度目となる起訴が決まったことを受けて、ワシントンの裁判所前ではアメリカメディアが中継を続けていて、慌ただしい雰囲気となっています」
トランプ前大統領は、アメリカの大統領経験者として史上初めて、しかも3回目の起訴となりました。
トランプ大統領(当時)
「議事堂に向かって歩こう!」
2021年1月の議事堂占拠事件について“扇動の罪”に問われるのではないかと注目されていましたが、1日に裁判所は、トランプ氏が事実でないと知りながら「選挙で不正があった」などと主張し、選挙結果を確定する手続きを故意に妨げた罪などで起訴しました。
議事堂占拠事件では扇動の罪に問われなかったものの、トランプ氏の事件への関与について捜査してきた特別検察官は、会見で「トランプ氏の虚偽の主張が占拠事件につながった」と指摘しました。
トランプ氏の関与を捜査 スミス特別検察官
「議事堂占拠事件は、アメリカの民主主義の中枢に対する前代未聞の攻撃だ。トランプ被告のウソにあおられたものだ」
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トランプ氏はこれまでに、ポルノ女優に不倫の口止め料を支払ったとされる事件や、政府の機密文書を持ち出した事件などで、すでに2回起訴されています。
2回目に起訴された後には「私は無実だ、悪いことは何もしていない! すべてがデマだ!」と“無実”を訴えていました。
来年の大統領選には立候補を表明していますが、起訴前の世論調査では、野党・共和党内で2位を30ポイント以上引き離す独走状態です。(モーニングコンサルト調べ 1位:トランプ氏 58% 2位:デサンティス氏 15%)
今回の起訴後には「このばかげた訴訟をなぜ(事件のあった)2年半前に起こさなかったのか? 彼らは私の選挙戦の真っ最中に起訴したかったからだ!」とSNSに投稿。バイデン大統領の選挙妨害だと反発しました。
「党内の候補者争いでのトランプ氏の優位は揺るがない」との見方が大勢です。ただ、アメリカメディアは「これまでのどの事件よりはるかに深刻で、歴史的に重大だ」と指摘。大統領選本選での勝利に不可欠な無党派層からの支持がさらに失われる可能性もあり、世論の受け止めが注目されます。