黒海をロシア側に向かう船舶“攻撃対象” ウクライナがロシアに対抗姿勢 ロシアはミサイル発射訓練…映像公開
ウクライナ国防省は20日、黒海をロシア側に向かう船舶は攻撃の対象になりうると示唆しました。ウクライナへ向かう船舶への攻撃を示唆していたロシア側への対抗姿勢を鮮明にしたのです。こうした中、アメリカ政府は、アメリカが供与したクラスター爆弾をウクライナ軍が使い始めたことを明らかにしました。
◇
日本時間21日、ロシア国防省は、黒海北西部で実施したという巡航ミサイル発射訓練の映像を公開しました。
ロシア海軍
「きょうは、黒海海域でミサイル攻撃を担当する部隊と2隻の艦艇で仮想敵へのミサイル攻撃訓練を行いました」
標的の船をミサイルが直撃しました。
ロシアは黒海を経由したウクライナ産穀物の輸出に関する合意をめぐり、履行停止を宣言しました。軍事的威嚇を強めています。
合意ではこれまで、ウクライナ南部からトルコ・イスタンブールへの黒海上に航行ルートを設定し、貨物船の安全な移動を保証していました。しかし、17日にはクリミア橋の爆発が起き、同じ日にロシアは合意の履行停止を表明。国防省は20日以降、「ウクライナに向かう全ての船は軍事物資を積んでいる可能性があるとみなす」として、攻撃対象になりうると示唆したのです。
ロシア側は映像の公開で、ロシア抜きでの合意維持を模索するウクライナを強くけん制した形です。
一方のウクライナ国防省は20日、日本時間21日午前6時以降に、黒海でロシア領やロシアの支配地域に向かう全ての船について「ウクライナにとってリスクとなる軍事物資を積んでいるとみなされる可能性がある」と、攻撃対象となりうることを示唆しています。ロシア側の警告とほぼ同じ表現を使っていて、対抗姿勢を鮮明にした形です。
◇
こうした中、ウクライナ東部や南部の前線で動きがありました。
アメリカ政府は20日、アメリカが供与したクラスター爆弾をウクライナ軍が使い始めたことを明らかにしたのです。
ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は、ウクライナがクラスター爆弾でロシア軍の防御に打撃を与えるなど、効果をあげていると指摘しました。
ウクライナ南部の穀物積み出しの拠点・オデーサには、ロシア軍によるミサイル攻撃が連日行われています。地元当局者は日本時間21日午後の投稿で、4日連続となるミサイル攻撃を受け、穀物の倉庫に着弾し、2人がけがをしたと明らかにしました。
穀物輸出の先行きへの不安感から、アメリカのシカゴ穀物市場では19日、小麦先物相場が前の日から8.5%上昇。ロイター通信は、ウクライナ侵攻の開始当初以来、最大の上げ幅だと報じています。
ロシアは、穀物輸出の合意への復帰には、関連するロシアの銀行を国際金融決済網「SWIFT」へ復帰させることなどを求めていて、「安全な穀物輸出」を人質にとった揺さぶりを強めています。