【解説】風向きがポイント? 北朝鮮との“風船合戦”なぜ…韓国政府は苦渋の対応
韓国の脱北者団体が金正恩総書記を批判するビラを北朝鮮に向けて飛ばす中、北朝鮮が9日にも対抗措置に出るとの見方がでています。
――北朝鮮の対抗措置が9日にもありそうということですが、このタイミングには何か意味があるのでしょうか?
ポイントになっているのは、実は「風向き」です。
そもそも、韓国側も北朝鮮も何かを飛ばすとしても相手の領域に入っていかないと意味がないため、互いに風向きを見ながら行動をしています。
実は、6日に脱北者団体がビラを飛ばしたのも北朝鮮向きに風向きが変わったタイミングを見計らって実施されていました。
今回は、9日にも「北から南向きの風向きに変わる」と予報されていて、そのタイミングで対抗措置に出るとの見方がでています。
――北朝鮮が準備する兆候はあるのでしょうか?
北朝鮮が対抗措置に乗り出すために「すでに大量の風船を確保した」と伝えられています。
これは韓国メディアが政府消息筋の話として伝えたもので、「命令があれば数時間以内に風船を作れる状態にある」としています。
また、風船を飛ばすと同時に「海上での砲撃訓練」などほかの挑発行為も行う可能性もあるとみて、韓国軍は警戒を続けているということです。
――ある意味「負の連鎖」となっていますが、そもそも、なぜ韓国政府は批判のビラを飛ばすのを止めないのでしょうか?
韓国政府は実は苦渋の対応を迫られています。
韓国政府としては、内心では騒動を収束させるためにも「ビラを飛ばすことはやめて欲しい」という考えもあります。
ただ、韓国の憲法裁判所は去年、「ビラを飛ばすことを禁じるのは“表現の自由”を制限することになる」との判断を示しています。
このため、韓国政府としても無理やり制止することはできず、あくまで自制を求めることしかできない、ということなんです。
いずれにせよ、今回はすでにビラが飛ばされているので、韓国政府としては北朝鮮の対抗措置に警戒が続きそうです。