【大腸がん】年間5万人が死亡 早期発見と予防のポイントは? 『every.特集』
東京都内にある大腸内視鏡検査のクリニックには、コロナ禍に検診を控えていた人が最近になって多く訪れるようになったという。
「この3年 実はビクビクしていた」という中村さんは、10年ほど前から、大腸がんの内視鏡検査を定期的に受けていたものの、コロナ禍で検診を控えていたそう。
こうした“検診控え”について大腸内視鏡治療の専門家、昭和大学特任教授・工藤進英医師は「世界的な傾向として大腸がんの死亡が一気に増えた(コロナ前と比べ)15~17%くらい死亡が増えて検査やらなきゃいけない」と話す。
英・ロンドン大学の論文によると、イギリスでは、コロナ前に比べて大腸がんと診断されてから5年後までに亡くなる人の数がおよそ16%増加する、という推計も。
暴飲暴食やアルコールのとりすぎ、さらに、運動不足などが原因といわれる大腸がん。日本のがんの死亡数を部位別に見てみると大腸がんは、女性でもっとも多く、男性では2番目。年間5万人もの人が、大腸がんによって命を落としています。
工藤医師は「早期がんで見つければ内視鏡治療でほとんど治る」「だからそこ早期がんで見つけられるよう定期的に検査をやらないとダメだ」と話す。
大腸がんは通常、腸内に隆起してできたポリープが便とこすれて出血し、トイレで気づくなどして検査を受けるきっかけとなる事が多いとされている。
しかし、へこんでいて出血しない大腸がんもあるそう。それが陥凹型というもので、潜っていくひっこんだ「がん」。へこんでいるから便が素通りし出血もないため、内視鏡でないと発見できない。
3年ぶりに内視鏡検査を受けた中村さん。陥凹型はなかったものの、6つのポリープが見つかった。
細胞レベルまで検査のできる“拡大内視鏡”で、6つのポリープのうち、がん化する可能性がある2つを検査中にとることに。
「40歳を超えたら2〜3年に1回でも定期的に来ることが非常に大切」と話す工藤医師。
大腸がん予防には、定期検査のほか、暴飲暴食を控えることや運動が大切。それに加え大事なのは「快便」。実は便が大腸に長くとどまることでがんのリスクが高まるという。便秘の解消も、大事な大腸がん予防なのだ。
「たかが便秘されど便秘」と話すのは、日本で初めて便秘外来を開設した順天堂大学教授・小林弘幸医師。
① 便秘と下痢を繰り返す
② 便に色が付く(出血・黒色便)
③ 痛みが常にある
3つのうちひとつでもある場合は検査を受けて「大腸がん」の早期発見につなげてほしい、と話す。
コロナ禍で生まれて初めて便秘になったという大野さん。気にしていたのは、やはり…「大腸がん」レントゲンや超音波検査を行ったところ、大腸がんの兆候は見られなかったが、便秘解消のため食事と運動で生活環境を改善することに。
大野さんが、小林医師から指導されたのが…トイレやお風呂などで、1分ほど脇腹を軽くもみ、外から大腸に刺激を与えるというマッサージ。
また、毎日上半身を大きく10回ほど、両腕を上げて前屈みにしたり起き上がらせたりしながら動かすことで大腸の動きをよくする体操も。
そして、食事指導の内容は、食物繊維を多くとるため野菜サラダ以外にもきんぴらやひじきなど、少量で食物繊維を取りやすいメニューを加える、というもの。
さらに、腸の働きをよくするためヨーグルトの食べ方には工夫が。小林医師は「乳酸菌とかビフィズス菌とかいろんな菌がいた方がいい。そういうものを組み合わせ継続することが重要」と話す。いろいろな種類のヨーグルトを日替わりで食べるようにしたという大野さん。
医師によると、ヨーグルトのほか様々な発酵食品も取り入れ、バランス良く食べることが大事だという。
そして、がんの早期発見のために大切なのは…40歳を過ぎたらまずは、内視鏡検査を受けること。医師の指導のもと、2〜3年に1回、定期的に検査を受けてほしいと医師たちは話していた。
※詳しくは動画をご覧ください。(2023年7月31日放送「news every.」より)