お出かけが増える行楽シーズンは要注意! 死亡事故が多発する“漫然運転”とは?
ゴールデンウィークなどでお出かけが増える行楽シーズン。長時間の運転で注意が必要と言われているのが”漫然運転”という状態です。警察庁によると、過去10年で交通死亡事故の一番の原因とされているのが、漫然運転なんだそうです。
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この“漫然運転”とは、どのような運転なのか?危険性と対処法を忽滑谷こころアナウンサーが取材しました。
まずは、ドライブレコーダーに記録されていた、漫然運転による事故の瞬間の映像をご覧下さい。見晴らしの良い、一般道を直進している車、交差点に進入して、そのまま通り過ぎようとしていると、次の瞬間、左から走ってきた車と衝突。
スローでもう一度映像を見返してみると、直進していた車の信号は赤色表示、つまり信号無視をして、左側から来た車と衝突事故を起こしていたのです。しかも、事故を起こしたドライバーは、この時、居眠りやよそ見をしていたわけではなかったと、話しているそうです。
漫然運転とは、一体、どのような状態なのか?専門家に聞いてみると…
東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科・渡邉修 診療部長
「漫然運転というのは、その名の通りでぼんやりとして運転に集中できない状態。車が来るなということは目には入っている、目には映っているけれどもそこに注意は向いていないという感覚ですね」
意識がしっかりとあって運転をしているものの、集中していないために、前を見ていても状況を認識できない状態。これが漫然運転だと言います。
警察庁によると、過去10年で死亡事故の原因の1位が、漫然運転だとされています。原因の多くは、疲労や体調不良、考え事をしてしまったなど、注意力が散漫になっていること。そして、より注意が必要なのが行楽シーズンです。普段、車を運転しない、ホリデードライバーが増え、長時間運転する機会が増えるからです。
東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科・渡邉修 診療部長
「長々と運転すれば、前頭葉の血流がめいっぱい(低下)しちゃって、そうすると注意集中力が途絶えて、事故と言うことになるので」
渡邉さんによると、注意力や集中力をつかさどる前頭葉は、使いすぎると、疲れてうまく働かなくなってしまうといいます。すると血の流れが悪くなり、ぼーっとした状態に陥りやすいそうです。そのため、前頭葉を回復させるためには、こまめな休憩が必要です。
東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科・渡邉修 診療部長
「やはり40分だとか、その程度になったら必ず休憩を取ってリフレッシュするというのがいい」
忽滑谷こころアナウンサー
「なるべく早く着きたいと思って何時間も連続で運転する人がいますが それは絶対やめたほうがいい?」
東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科・渡邉修 診療部長
「車のエンジンも熱くなってるし同じように脳みそも悲鳴をあげていると考えたほうがいいと思います」
こうした中、AIなどの最新技術を駆使した対策も期待されています。去年12月に販売が始まったのは、AIが眠気や注意散漫の兆候を検知して、音声で警告してくれるという画期的なシステム。その名も、ドライバーモニタリングシステム「AIS」。
マクニカ・中谷 俊彦さん
「漫然運転状態になるときに、まばたきの回数が多くなるとか目が閉じやすくなったり、あくびをしたりというところがある。そこを検出することができる」
赤外線カメラを通して、視線やまばたきの様子をとらえているため、ドライバーの状態を判断できるといいます。また長時間にわたり運転をすると、休憩を促すアナウンスも流れます。現在は物流会社などをターゲットにしていますが、今後は個人でも利用できるよう、販売網を検討しているといいます。
誰にでも起こりえる漫然運転は、体が元気なときでも油断は禁物。少しでも運転に集中できる環境を整えることが大切です。そのためには…
①おしゃべりや考え事を控える
②シートの背もたれを起こして良い姿勢を保つ
③自分も事故を起こすかもしれないと言い聞かせて緊張感を保つ
ほんの少しの心構えを持つ事で、防げる漫然運転。楽しく行楽地へ出かけるためにも、是非、心がけてみて下さい。