家族の一員であるペットと、どうすれば長く健康に過ごせるのか…。ペットの平均寿命が延びる中、健康診断を受けさせる飼い主が年々増加しているようです。高齢化するペットと、それを見守る飼い主の思い。進化する動物医療の現状を取材しました。

伸びるペットの平均寿命　高齢になった愛犬の変化

ミニチュアシュナウザーのルゥくんと飼い主さん

10歳をむかえたミニチュアシュナウザーのルゥくん。人間でいうと約60歳ですが、この1～2年で、ある変化があったといいます。

飼い主さんによると、散歩のときに歩くのが遅くなり、ときには立ち止まってしまうことも。以前はできていた階段の上り下りも、できなくなってしまったそうです。

10年間一緒に暮らしてきた大切な家族。飼い主さんは、ルゥくんが食べやすいようドッグフードを水につけてやわらかくするなど、体調を気遣っています。

ルゥくんの飼い主：
「前の子が、胆のうがドロドロになって硬くなっちゃった病気で、手術をしたけど亡くなってしまったんです。やっぱりルゥくんは長生きしてねって」

「アニコム 家庭どうぶつ白書2024」によると、2012年からの10年間で犬の平均寿命は0.7歳伸び、2022年度には14.2歳に。人間でいうと4～5歳分。ペットの高齢化は確実に進んでいます。

人間用のCTで病気を早期発見　進化する動物医療

診察を受けるヨークシャーテリア

2024年11月にオープンした名古屋市中区の「ワンルーク動物病院」では、ペットに健康診断を受けさせるために、多くの飼い主が来院していました。

従来、“ペットの体調が悪くなったときに連れてくる場所”だった動物病院ですが、獣医師の団体「Team HOPE」の調査によると、定期的にペットの健康診断を受けているという飼い主は、2016年と比べて約1.5倍に増えているといいます。

猫のつくしくん（2歳）の飼い主：
「今の状態を知っておくと、調子が悪くなったときに比較ができると聞いたので、何かあったときに安心かなと思います」

ヨークシャーテリア・マロンちゃん（6歳）の飼い主：
「人間でいうともうちょっとでシニアに入っちゃうので、言葉もしゃべれないし、できるだけ知識もつけていかなきゃいけない」

この動物病院では、より精密な検査ができるよう“あるモノ”を取り入れています。それが、人間用と同じCTの機械。X線をあて、体内を360度の角度から見ることができるので、がんなどの病気の早期発見が期待できます。

ワンルーク動物病院グループ 近藤元紀統括総院長：
「超音波とかレントゲンでも、当てて影になってしまう部分がある。そういうところもCTだとものすごく細かくわかる」

愛犬の健診結果に飼い主が思わず涙…

ルゥくんを診察する近藤先生

この日、ルゥくんも健康診断を受けにやってきました。まずは、目を見たり心臓の音を聞いたりして、全身を丁寧にチェックします。

続いて歯を診てもらったのですが、下の歯にグラグラするところが…。あごの骨も溶けるほどの、重度の歯周病であることが判明しました。

採血をし、動物の種類ごとに詳細に調べることができる機械で検査をすると…。

ワンルーク動物病院グループ 近藤元紀統括総院長：
「（赤血球の値が）一応正常範囲なんだけど、もっと低い。これは何を言っているかというと、貧血がある。おそらく歯がすごく悪いから、そこから毎日ちょっとずつ出血があったりだとかしていると思いますね」

後日、改めてCTで歯の状態を診てから治療を始めることになりました。

ルゥくんの飼い主：
「すごくよかったなって、ちょっとワンちゃんに悪いなって…ここまで悪いと思わなかったので、ちょっとショックです。ここまでのことは周りの動物病院では診てもらってなかったので、言ってもらってなかったし、本当によかったです」

そう話しながら涙を流した飼い主さん。思いもよらない診断にショックを受けながらも、治療できることへの安堵が押し寄せてきたようです。

ワンルーク動物病院グループ 近藤元紀統括総院長：
「動物の場合は、飼い主さんが見ておかしいなと思って初めて病院に行く。だから、気がつくのがどうしても遅くなってしまうんですね。同じ病気でも初期で見つかったら割と簡単に手術もできる。その方が費用もかからないし、動物も大変じゃないから、早く発見することは極めて重要なんですよね」

具合が悪くても言葉で伝えることができない動物たち。"1日でも長く元気でいてもらうため"に、家族の一員でもあるペットも定期的に健康診断を受ける時代にかわってきたのかもしれません。