エスカレーターの安全利用を促したい 大阪大学と協力しポスターの効果を調査 名古屋市
市民に安全利用を促そうと、名古屋市は大阪大学経済学部の大竹文雄氏の研究室と協力して、市内の地下鉄駅で調査を実施しました。
エスカレーターの搭乗口にポスターを掲示し、コンセプトが異なる3種類のポスターで利用者の行動の変化がどう表れるのかを見る調査です。
3種類のポスターは、「ひじでそっとつつく」を意味する英単語「ナッジ(nudge)」に由来した「ナッジ理論」に基づいています。ナッジ理論は、ルールや罰則、報酬などで行動を強制したりせずに、行動科学に基づく小さなきっかけによって行動変容を促す効果を期待するものです。
①は、2列で利用することの価値をアピールしたデザイン。一緒にいる人の前後ではなく、隣に立つメッセージを強調しています。
②は、立ち止まって利用する人が多数派であることをアピールしたデザイン。9割の人が立ち止まって利用していることを強調し、同調効果を誘っています。
③は、歩いて利用する人が少数派であることをアピールしたデザインです。歩いての利用は14人に1人しかいないことを強調し、同調効果を促しています。
アピール方法は異なりますが、いずれもエスカレーターで立ち止まっての利用を促す効果を狙っています。
調査の結果は現在、分析が進められていますが、研究室によると、調査を終えた段階では「①と②に関して、利用者に立ち止まってのエスカレーター利用を促すナッジ効果がみられそうな見通し」といいます。
名古屋市の担当者は、「検証の結果、効果が高かったものについては今後の啓発に生かしていきたい」と話しています。
今回の実験について研究室が取り組むきっかけとなったのは、大阪での実体験ということです。
大阪ではエスカレーターの左側を空ける習慣が浸透しており、右側に人が滞留し混雑が発生しやすい傾向があります。
このような状況を解消したいと考えていた実験に携わった学生によりますと、エスカレーターに関する条例を他自治体に先んじて施行する名古屋市に呼びかけたところ、賛同が得られ今回の取り組みに至ったということです。